「幼い息子がたった1人で5時間も電車に乗ることに。隣の席になった青年に『よろしくお願いします』と挨拶したら...」(北海道・50代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Sさん(北海道・50代女性)
Sさんの息子は7歳の時、札幌から釧路まで行くことになった。特急で5時間、たった1人の大冒険である。
見送りに行くと、息子の隣の席には若い男性が。Sさんは彼に「ご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが...」と挨拶したという。
<Sさんの体験談>
息子が小学校に入学した後、私は離婚しました。それからの毎日は、がむしゃらに働く日々でした。
学校の長期の休みには、息子は釧路にある私の実家に預けることに。初めて1人で釧路に行かせた、彼が7歳の時のことです。
息子は積極的なタイプではないのに...
自宅のある札幌から釧路までは、特急で5時間。7歳にとっては大冒険です。
その時、息子の隣に座ったのは大学生っぽい雰囲気の若い男性でした。
私は「初めて1人で乗るのでご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、よろしくお願いいたします」とご挨拶して、息子を見送りました。
そして後日、息子は車内であった出来事を、私に話してくれました。
息子が乗っていた特急では車内販売で、「バナナ饅頭」が売られていました。十勝・池田町の名物です。
隣に座っていた青年はバナナ饅頭を買って、息子に「食べる?」と聞いてくれたそうです。
息子は「うん......」と頷き、ごちそうに。息子は積極的なタイプではなく、どちらかというとおとなしい、モジモジ君タイプ。多分、お礼も伝えられずにお別れしたかもしれませんが、その時のことを息子は、
「ママ! お兄さんがバナナ饅頭を買って僕にもくれたの。美味しかった~。僕もバナナ饅頭お買い物したい!」
と嬉しそうに話してくれました。
「お兄さんみたいに買うの!」
モジモジ君の息子が車内販売で「バナナ饅頭ください」なんて言えるのかしら? と思いましたが、
「お兄さんみたいに買うの!」
と、「憧れのお兄さん」と「憧れのバナナ饅頭」といった感じでやる気満々(笑)
その後の帰省では、お小遣いでバナナ饅頭を買っていました。
きっと初めての大冒険で、息子はすごく緊張していたと思います。
そんな時に話しかけてくれたり、バナナ饅頭を分けてくれたりしたお兄さん。「もうすぐ着くよ」と起こしてくれもしたそうです。彼の優しさと、バナナ饅頭のほのかな甘さが、息子の心に温かく残りました。
あの時は、本当にありがとうございました。
7歳だった息子は、青年になりました。あの時のあなたのように、優しい人になっていると良いな。
当時20代だったお兄さんは、もう40代になっているはず。優しかったあなたが今、幸せでありますように。
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