「秋田に帰りまぁーす」 渋谷駅で「出張中のなまはげ」激写されるも、電車内での目撃情報なく...無事に帰れた?同行者に聞く
「泣く子はいねがー、親の言うこど聞がね子はいねがー」
鬼のような顔で藁を身に着けて大声で叫ぶ、恐ろしげな「なまはげ」。秋田・男鹿で家々を巡り、厄をはらって吉事をもたらす神の使いだ。
そんな「なまはげ」が渋谷駅に現れた。
藁の衣装を身に着けた2人(?)のなまはげが、駅構内を歩いている。背中から滲み出る迫力が、すごい。
2023年1月21日、この写真をツイッターに投稿した水彩画家・永山裕子(@yuko_nagayama)さんは、撮影時の状況について次のように述べている。
「渋谷の駅長さんが『なまはげ、秋田に帰りまぁーす、道開けてくださいー』と山手線の方に歩いていった」
なまはげ、電車のるの?
「青森から来た」というおばあちゃんに...
24日、Jタウンネット記者の取材に応じた投稿者・永山さんよると、なまはげと遭遇したのは21日16時半頃。山手線を降り、改札に向かっていたところで「赤と青のガタイのいい鬼」が歩いてくるのを発見し、ギョッとしたという。
何事かと思っていたら、流れたアナウンスが「なまはげが秋田に帰りまぁーす」。状況を把握した永山さんは、急いで写真を撮影したそうだ。その時に目撃した、なまはげのこんな一面も教えてくれた。
「私のそばにいたおばあちゃんが、なまはげを呼び止めて『私は青森から来たんだよぉ!頑張りなさいよぉ』と言っていて、なまはげは頭を下げていました。礼儀正しいなまはげでした」
渋谷駅構内で激写されたなまはげには、
「なまはげさん、出張お疲れ様です」
「なまはげも電車で帰るんだね」
「東京か上野までいかないと秋田新幹線乗れないから許してあげて...」
といった声のほか、6万3000件を超える「いいね」(26日夕時点)が寄せられるなど、大きな話題となっている。
「ツイートにコメントされてる皆さんが嬉々として『どこどこで乗り換えなさい』とか『こまちに乗るの?』とか、なまはげのことを心配していて、特になまはげの故郷に近い人たちのコメントが温かいなぁと思いました」(永山さん)
ただ、「電車に乗ったらなまはげがいた」といった報告は見当たらない。なまはげは、無事に秋田に帰れたのだろうか。もしかして、東京で迷子になっちゃったりしていない......?
心配になった記者は、なまはげの「出張」に付き添っていたという秋田県男鹿市観光課の長谷部達也課長に話を聞いた。
ちゃんと秋田にたどり着けたの?
長谷部さんによると、なまはげは、2月10日~12日に男鹿市で行われる「なまはげ柴灯(せど)まつり」のPRのため出張してきていた。1月21日と22日にJR渋谷駅南改札前で「なまはげ太鼓」を披露し、渋谷スクランブルスクエア内を練り歩いたという。今回のようなPR活動は初めてのことで、ハチ公像やポップアップショップが存在するなど、秋田と縁があることから渋谷で実施されたそうだ。
「話題になっている写真は、太鼓を叩き終えたなまはげが、帰るところを撮影されたものだと思われます」(長谷部さん)
ちなみにこのとき、なまはげの先達を務めていたのが長谷部さん。「なまはげ、秋田に帰ります」とアナウンスをしていたのは長谷部さんや、場内のアナウンスだったとのことだ。
なまはげと行動を共にしていた長谷部さんならきっと、なまはげの「その後」も知っているはずだ。なまはげは、電車に乗れたのだろうか。そして、無事に秋田にたどり着けたのだろうか。
記者の質問に対し、長谷部さんは次のように答えた。
「なまはげがどうやって帰ったのかは、分かりません。ですが、無事に山に帰ることができました」
神の使いであるなまはげがその住み家に帰る方法を我々人間が知ることは、残念ながらできないようだ。ともあれ、無事に帰れたのならば、何よりである。
ところで、2月10日から開催される「なまはげ柴灯(せど)まつり」では、渋谷で披露された「なまはげ太鼓」だけではなく「なまはげ踊り」や市内各地の特色あるなまはげがやってくる「里のなまはげ乱入」なども予定されていて、見ごたえ抜群とのこと。ユネスコ無形文化遺産にも登録されている「男鹿のナマハゲ」、気になる人はこの機会に会いに行ってみては。