どうして?何のために? 世にも不思議な「トンネルの中にあるトンネル」の謎を追う
途中まで工事したけど...
建設課の職員によると、大峠隧道のトンネルの工事が行われたのは1950年代のことだ。51~52年の2年間は、本格的な工事の前に作る「導坑」という小さな通路を掘っていたという。
そして58年、この導坑の幅を広げてトンネルを作る工事を始めたのだが......。
「トンネル本体の工事をしている途中で、近くに国道のバイパスができると決まり、工事が中断しました」(建設課の職員)
そのため、大峠隧道の工事を進める必要がなくなり、途中でストップ。ある場所まではトンネル本体がつくられ、ある場所からは「導坑」の穴だけが残っているという、トンネルの中にトンネルがあるような不思議な道になってしまったというわけだ。
なんとも中途半端な状態で留まることになってしまったわけだが、独特な形状であることから地元住民からは「ガリバートンネル」との愛称で親しまれ、観光客も訪れる隠れた名所に。
そのため、「大きくしてしまうと、価値が下がってしまう」との理由から、途中で工事がストップした状態が保たれているのだとか。
道路計画に振り回されて完成することのなかった大峠隧道は、現在でも点検や補修が行われ、人々から大事にされ続けている。