薄暗い曇天、一斉に飛び立つ鳥の群れ... 早朝の松本城が完全に「魔王の城」だった件
魔王が住んでいそう──思わずそんな感想を抱いてしまう城の姿が、ツイッター上で注目を集めている。
こちらは、愛知県名古屋市在住の会社員・原(@haruhara_kun)さんが2022年11月7日に
「長野の松本には魔王の住む城がある」
と呟きながら投稿した写真だ。国宝・松本城は外壁に黒漆が塗られた美しい「黒い城」だが、薄暗い曇天、空を舞う鳥の大群、絶妙な陽光の当たり具合があいまって、恐ろしささえ感じるほど。
漂うのはまさに「魔王城」とでもいうべき雰囲気。その風格にツイッター上ではこんな声が寄せられている。
「これはラストダンジョン感が凄いですね」
「色味と言い、構図といい、鳥が飛んでるところといい至高の作品だと思いました」
「光が差している右側と影になっている左側の対比、鳥までリフレクションしてしまうの素晴らしいです」
この恐ろしくもカッコいい写真は、どうやって撮ったのだろう。Jタウンネット記者は9日、投稿について原さんに話を聞いた。
ある程度狙ってはいたけれど...
原さんが松本を訪れたのは5日。紅葉が綺麗な場所があると聞き、急きょ予定を決めたという。そのため、他に行くところもなく6日の早朝も城を見に松本城公園へ行った。そして、その光景に出会った。
「5日の午後に訪れた際には水面は風で波打っており、綺麗な反射は見れず、また鳥もあまり多くは飛んでいませんでした。
6日は前日とは打って変わって水面が穏やかで鏡のように反射していました。たまたま風が凪いでいた、というのと、どうやらカラスたちはトンビが飛んできたときなどに一斉に飛び立っていたようなので、ちょうど運がよかったのかな?」(原さん)
鳥たちが飛び出してきた瞬間、原さんは「これだ!」と思ってシャッターを切ったという。1度では成功しなかった。最初はシャッタースピードを遅くして撮ろうとしていたのだが、鳥たちが飛びかっていることでブレてしまったのだ。そこで原さんはシャッタースピードの設定を変えて再挑戦した。
「また、暗い中に日が昇るタイミングは明暗の差が激しく、白飛び、黒潰れがしてしまいやすいので、お城のディテールがしっかり残るよう気をつけながら撮影、現像をしました」(原さん)
試行錯誤を経て生み出された、印象的な一枚。記者が改めて原さんにその光景を目の当たりにしたときのことを聞くと、
「松本城天守は国宝に指定されるだけあって、圧巻の貫禄でした。また、日中だけでなく早朝などに訪れることでまた違った顔が見られるので、そういった楽しみ方が出来るのも素敵だなと感じました」
と振り返った。