マニアックすぎんか? 「北海道の貨物列車の音」を流すラジオ番組が始まっていた
北海道のラジオ局・AIR-G'(FM北海道)で2022年10月3日、鉄道に関する新しい番組がスタートした。
その名も「JR貨物presents Sound of Train」。なんと、「貨物列車の走行音」や「貨物駅で発生する様々な音」を放送する番組だ。
貨物列車や駅の音を楽しむって、どんな番組なんだろう。想像がつかないので、10月3日の放送を聞いてみた。
ナレーターの高山秀毅さんが、その回のテーマとなる貨物列車の走行経路や車両について簡単に説明するところから番組は始まった。その後数分間は、乗務員の点呼や笛の音、列車のエンジン音だけが流れる。
あまりにもマニアック過ぎて、放送が終わった時には気が抜けてしまっていた。こんな攻めた番組を、どうして作ろうと思ったのだろうか。
Jタウンネット記者は4日、ナレーターで番組の制作にも携わる高山さんに話を聞いた。
「FMラジオの良い音で、走行音を流せないか」
高山さんによると、JR貨物はこれまでも「人々の暮らしに必要な物資を運ぶ業務」を広く伝えるため、新聞広告の掲出といった広報活動に力を入れていたという。
そんなJR貨物が高山さんに話を持ちかけてきた。
「ひょんなことからFMラジオの良い音で、走行音を流せないかとの話をいただきました。正直、お話をいただいた時は面食らいました」(高山さん)
音だけの世界で、そしてたった5分間の番組で、貨物列車の魅力をどこまで伝えられるのか。
周囲からも「5分でも貨物列車の番組ができるのか」「何を聞いても同じ」とまで言われてしまった。
しかし、貨物列車の音の収録に行くと、希望の光が差し込んだ。
聞けば聞くほど「音が見えてきた」
「普段乗る機会のない貨物列車で録音した音を聴いてみると、同じ列車でも非常に表情豊かなんです。聴いていけばいくほど、音が見えてきます」(高山さん)
収録を行ったことで貨物列車の「音」の世界の深さが見えてきた。この魅力を最大限に生かすために、あえて音楽を使わず、ナレーションも極力絞った番組のスタイルが出来上がったのだ。
「番組を通じて貨物列車に乗っているかのような疑似体験、感情移入をしていただけるかもしれません。そして、放送を聞いて『現地に行ってみたい』と思っていただければ嬉しいです」
と高山さん。想像力をフルに働かせて放送を聞き、貨物列車の世界に没入するのがオススメの楽しみ方のようだ。
1か月ごとに取り上げる列車が変わり、10月は北見駅から北旭川駅を経由し、札幌貨物ターミナル駅まで走る「タマネギ列車」と呼ばれる貨物列車の音を1か月かけて取り上げる。
番組は「radiko(ラジコ)」でも配信されており、近日中には走行音の部分を「Podcast(ポッドキャスト)」でも配信する。
同番組の放送時間は月曜日から金曜日の23時55分~24時。奇しくも人気番組「JET STREAM」の直前だ。
夜間飛行に出かける前にちょっと貨物列車の旅に寄り道してみるのは、いかがだろうか。