「信号変わりかけの横断歩道を、ゆっくり渡るおばあさん。車道の改造バイク乗りが、空吹かしのあと彼女に近付き...」(新潟県・50代男性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Yさん(新潟県・50代男性)
その日、Yさんが通勤途中の交差点で信号待ちをしていたら、1人のおばあさんが横断歩道をゆっくりと渡りはじめた。
長い横断歩道なので、彼女が渡り切る前に信号が変わりそうだ、と心配しながら見ていると......。
<Yさんの体験談>
10年ほど前、通勤途中に片側2車線の交差点の先頭で信号待ちしていた時のことです。
小柄なおばあさんがカゴ付きの手押し車を押しながら、対向車側から横断歩道を渡り始めました。足腰が悪いのか、ゆっくりとした歩みでした。
改造バイクにまたがる男が...
「これは、まだおばあさんが対向車側にいるのに車側の信号が青になってしまうなあ、渡り切るまで待つか」と思っていると、後方からバイクを吹かす音が近づいてきました。
やがてセンターラインあたりを走って信号待ちの車列の先頭に現れたのは、ヘッドライトを自分のヘルメットより高く改造した、いわゆる「族車」っぽいバイク。
ライダーの男はその場所で「ブウォンブウォン」と2回ほど空吹かしをしたかと思うとバイクから降り、おばあさんの方へ歩いていきます。
「これはマズイ」
私は咄嗟にそう思いました。しかし瞬間、バイクの男は対向車側と私たち側の車線を「動くんじゃねえぞ」とばかりに手で静止。
そのままおばあさんを小脇に抱えて、手押し車をヒョイと持つと、横断歩道を渡り切りったのです。
「車は容赦ねえから」
「ばあちゃん、車は容赦ねえから気をつけてな」
彼はおばあさんにそう言うとバイクに跨り、また威勢よく「ブウォンブウォン」と鳴らしながら走り去りました。
どちらの車線の車も動けず、その一部始終を見守っていました。対向車に乗っていた女性と子供は拍手。私が何気なくおばあさんの方を見ると、ライダーの背中に向かって深々とお辞儀をしていました。
彼のおかげで、その日は一日中気持ちよく過ごせたので、ありがとうを言いたいと思います。今でも時々思い出す出来事です。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。
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