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「家を飛び出し、夜の公園のベンチに1人で座る中2の私。男の人が近づいてきて、『ぼくが見といてあげるから...』」(大阪府・50代女性)

大山 雄也

大山 雄也

2022.07.24 08:00
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シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Kさん(50代女性)

45年前、中学校2年生だったKさんは、母親からきつく叱られ、家を飛び出した。

時間は夜。行く宛の無い彼女がたどり着いたのは、家から少し離れた大きな公園のベンチ。

「これからどうしよう」という不安になっていると、見知らぬ男性が近づいてきた。

夜の公園のベンチに座っていたら男が近づいてきた(画像はイメージ)
夜の公園のベンチに座っていたら男が近づいてきた(画像はイメージ)

<Kさんの体験談>

中学校2年生のある日、私は母親にきつく叱られ、「出ていきなさい」と言われました。

私が悪くて叱られたのに「ごめんなさい」の一言が言えない私は本当に家から出て、20~30分ほどの小高い場所にある、大きな公園のベンチにたどり着きました。

「変なことをされたらどうしよう......」

そこに座っていると、少し離れたところに並んで建っている公団住宅のそれぞれの部屋から、食器が当たる生活音や家族で会話をする声が鮮明に聞こえ、「こんなに離れているのに」と不思議でした。

私は悲しみも怒りも感じなくて、とにかく「これからどうしよう」と呆然とするばかり。

しばらくすると、男の人が近づいてきました。30歳か40歳か、子供の私には年齢の見当がつきません。

「変なことをされたらどうしよう」と思っていると、その人は、

「どうしたの。もう少し明るいところへ行こう」

と言いました。

近づいてきた男に話かけられた(画像はイメージ)
近づいてきた男に話かけられた(画像はイメージ)

明るいところと言われたので「変なことはされないかな」と思い、電灯が照らすベンチに移動しました。

「1、2の3で走って......」

そこからの会話はおぼろげです。ただ、最後に「僕は、九州の佐世保の出身。佐世保はいいところ。一度行ってみて」と話してくれたのは覚えています。

そして、彼はこんなことを言いました。

「さあ、僕が見といてあげるから、1、2の3で走って帰りなさい。1、2、3!」

彼の声をきいて、私は言われた通り走り出しました。

男性に言われた通り、走り出した(画像はイメージ)
男性に言われた通り、走り出した(画像はイメージ)

家に帰ると、父は私を探しに出ていて、母が黙って私を出迎えました。

あの男の人がいなかったら、自分はどうしていたかわかりません。彼のおかげで無事に家に帰ることができました。

その時40歳だったとして、今は85歳ぐらいでしょうか。ご存命かどうかもわかりません。

学校、仕事、家庭と必死でここまで生きてきて、1人で気ままに旅に出るチャンスが無く未だに佐世保に行けていません。

けれど、そのうち行けるときが来ると思います。もし行くことができたら、佐世保の町に「ありがとう」と言いたいです。

誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!

名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな、あの時自分を助けてくれた・親切にしてくれた人に伝えたい「ありがとう」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。

Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージメール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな人に、どこで、いつ、どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談を編集して掲載しています。あらかじめご了承ください)

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