ゼニゴケは「とても邪魔」、スギゴケは「VIP」 銀閣寺に生える苔には「ヒエラルキー」があるらしい→どんな基準か聞いてみた
「苔界隈にもヒエラルキーがある」
こんなコメントと共に投稿された写真が、ツイッター上で話題になっている。
苔にもヒエラルキー......つまり階級があるとは、どういうことなのか。とにかく、まずはこちらの写真をご覧頂こう。
こちらは、ツイッターユーザーのuraEMON(@EMON51983792)さんが2022年7月5日に投稿した写真だ。
升目状に仕切られたプランターに、「ゼニゴケ」や「ジャゴケ」などと書かれた紙を添えて、何種類かの苔が植えられている。そして、そのプランターの後ろに建てられた木の看板には
「とても邪魔な苔」
の文字が。投稿にはさらに2枚の写真があり、それぞれ「ちょっと邪魔な苔」「銀閣寺の大切な苔」という看板があるプランターが映っている。どうやら、一口に苔と言っても、邪魔なものとそうでないものという「階級」があるようだ。
見た目はほとんど同じなのに...
Jタウンネット記者は6日、投稿についてuraEMONさんに話を聞いた。
uraEMONさんによると、苔のプランターの写真は2007年の5月、京都の銀閣寺で撮影したものだ。
「当時はバイクツーリングをしていて、養老、関ヶ原、琵琶湖、京都と訪問し、銀閣寺を散策してるときに例の苔を見つけて面白い!と思ってそれぞれ写真に取りました。
その時はSNSもあまりなかったのでずっと写真を寝かせてあったのですが、たまたまgoogleフォトで回想していたら見つけて、我ながら面白いと思ってツイートしてみました」(uraEMONさん)
階級によって分けられた苔たちを発見した当時を振り返り、uraEMONさんは
「見た目はほとんど同じ苔なのに、よく見ると種類があったり、『邪魔な苔? ナニソレ? お硬そうなお寺だけど邪魔とか言い切っちゃうあたりが遊び心があって面白い!』と思いました」
と語った。
それにしても、「邪魔」や「大切」というのはどういう基準で分けられているのだろう。Jタウンネット記者は7日、銀閣寺にも話を聞いた。
どんな基準で分けてるの?
取材に応じた同寺・寺務長の話によると、この苔たちはかつてお寺の庭園で展示されていたもの。「すでに当時関わっていた職員が退職してしまっており、詳しい時期や経緯は不明」だと前置きしつつ、
「当時の庭園を整備していた職員たちが、『苔にも色々と種類がある』ということを参拝客の方たちに伝える為に、数年間だけ展示していたようです」
と説明した。uraEMONさんが投稿した写真からは、30種類以上の苔が確認できる。
それらが「とても邪魔な苔」「ちょっと邪魔な苔」「大切な苔」に分けられている理由については
「当時の寺の和尚さんや職員たちの主観によって分けられたようです。たとえば、見た目が美しいことから日本庭園などでよく使われるスギゴケなどは大切な苔、繁殖力が強すぎるゼニゴケや他の苔を覆い隠してしまうハイゴケなどは邪魔な苔、といった具合です」
と語った。
ただ、当時この苔たちが設置されていた場所が参拝ルートの近くで、展示を見る為に足を止めた人によって通行の妨げになってしまっていたことから、数年ほどで展示は中止されたとのことだ。
2022年現在は残念ながら見られないようだが、次に銀閣寺を訪れる時は、お寺だけでなく辺りに生えている苔たちにも注目してみたい。