「川で溺れているところを助けてくれたお兄さん。お礼すら言わない私に『かわいくねぇ』と言いつつも...」(埼玉県・30代男性)
アウトドアは楽しいが、時として危険な目に遭ってしまう場合もある。
今回ご紹介するのは、埼玉県在住のJタウンネット読者のKさん(30代男性)が子供の頃、家族と川にバーベキューに行った時の経験談。彼はサワガニ探しに夢中になるあまり、川に落ちてしまったのだという。
<Kさんの体験談>
私の住む埼玉県に海はなく、アウトドアレジャーといえば、長瀞の川辺でのバーベキューが私たち家族には定番でした。
これは私が小学校に上がった頃にバーベキューに出かけたときの話です。
好奇心旺盛な年頃だった私は、岩をどかすと見つけられるサワガニに気を取られ、どんどん親の目の届かない場所へ移動してしまいました。
必死になってサワガニを追う私には、ほんの一瞬の出来事でした。足場だと思った岩が、水流と私の体重でいとも簡単に流されました。そして、私もそのまま川に流されてしまったのです。
「本当に死んでしまうんだと思った」
後にも先にも死を予感したことは、このとき以外にありません。完全に溺れてしまった私は、決死の思いで右腕だけを川面に出るよう持ち上げました。
「もう息が続かない。ああ、本当に死んでしまうんだ」
そう思った瞬間、体がフワッと浮いたのです。
私の流れる右手を見たお兄さんがと抱き上げてくれたのです。ただごとではないと思ったのでしょう。
お兄さんは、私を抱きながら「溺れてただろ?」と言いました。でも、私は
「いや、遊んでただけ。溺れてなんかなかった」
と感謝の言葉もろくすっぽ口にすることなく、生意気に振る舞いました。本当は怖くてたまらなかったのに......。
「ありがとう」が言えないまま...
お兄さんは私に「かわいくねぇ」とだけ言って、親の元へ連れて行ってくれ、それきりです。
私を助けてくださった、名前も知らぬお兄さん。私は幼なすぎるために生意気で、命の恩人に対してありがとうすら言えませんでした。今、あの時のお兄さんに、この場を借りて心から感謝を申し上げます。本当に本当にありがとうございます。
お兄さんの助けなしに、私は生き延びることが出来ませんでした。本来であればお会いして、感謝と謝罪を申し上げたいのですが、30年間叶わないまま。
直接感謝を伝えられない無礼をどうかお許しください。そして、今どこかで元気で暮らしていることを祈ります。どうかこれからもご自愛ください。ありがとうございました。
誰かに伝えたい、あのときは「ごめんなさい」「ありがとう」、ありませんか?
身近な家族や友達はもちろん、今はもう会うことのない疎遠になった知人、偶然出くわした見知らぬ人......そんな相手との、心の「しこり」のような思い出が誰にも1つや2つはあるものだ。
一方で、当時はお礼を言えなかったけれども、今でも温かい思い出として残っている「感謝」の気持ちを抱いている人もいるだろう。
そこでJタウンネットでは、読者の皆様の「今さらかもしれないけれど謝りたいこと」や「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※なお本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)