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「川で溺れているところを助けてくれたお兄さん。お礼すら言わない私に『かわいくねぇ』と言いつつも...」(埼玉県・30代男性)

大山 雄也

大山 雄也

2022.04.03 11:00
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アウトドアは楽しいが、時として危険な目に遭ってしまう場合もある。

今回ご紹介するのは、埼玉県在住のJタウンネット読者のKさん(30代男性)が子供の頃、家族と川にバーベキューに行った時の経験談。彼はサワガニ探しに夢中になるあまり、川に落ちてしまったのだという。

家族でバーベキューに(画像はイメージです)
家族でバーベキューに(画像はイメージです)

<Kさんの体験談>

私の住む埼玉県に海はなく、アウトドアレジャーといえば、長瀞の川辺でのバーベキューが私たち家族には定番でした。

これは私が小学校に上がった頃にバーベキューに出かけたときの話です。

好奇心旺盛な年頃だった私は、岩をどかすと見つけられるサワガニに気を取られ、どんどん親の目の届かない場所へ移動してしまいました。

サワガニ探しに夢中になってしまった(画像はイメージです)
サワガニ探しに夢中になってしまった(画像はイメージです)

必死になってサワガニを追う私には、ほんの一瞬の出来事でした。足場だと思った岩が、水流と私の体重でいとも簡単に流されました。そして、私もそのまま川に流されてしまったのです。

「本当に死んでしまうんだと思った」

後にも先にも死を予感したことは、このとき以外にありません。完全に溺れてしまった私は、決死の思いで右腕だけを川面に出るよう持ち上げました。

「もう息が続かない。ああ、本当に死んでしまうんだ」

そう思った瞬間、体がフワッと浮いたのです。

溺れていたところを助けてくれたのに......(画像はイメージです)
溺れていたところを助けてくれたのに......(画像はイメージです)

私の流れる右手を見たお兄さんがと抱き上げてくれたのです。ただごとではないと思ったのでしょう。

お兄さんは、私を抱きながら「溺れてただろ?」と言いました。でも、私は

「いや、遊んでただけ。溺れてなんかなかった」

と感謝の言葉もろくすっぽ口にすることなく、生意気に振る舞いました。本当は怖くてたまらなかったのに......。

「ありがとう」が言えないまま...

お兄さんは私に「かわいくねぇ」とだけ言って、親の元へ連れて行ってくれ、それきりです。

私を助けてくださった、名前も知らぬお兄さん。私は幼なすぎるために生意気で、命の恩人に対してありがとうすら言えませんでした。今、あの時のお兄さんに、この場を借りて心から感謝を申し上げます。本当に本当にありがとうございます。

お兄さんの助けなしに、私は生き延びることが出来ませんでした。本来であればお会いして、感謝と謝罪を申し上げたいのですが、30年間叶わないまま。

直接感謝を伝えられない無礼をどうかお許しください。そして、今どこかで元気で暮らしていることを祈ります。どうかこれからもご自愛ください。ありがとうございました。

誰かに伝えたい、あのときは「ごめんなさい」「ありがとう」、ありませんか?

身近な家族や友達はもちろん、今はもう会うことのない疎遠になった知人、偶然出くわした見知らぬ人......そんな相手との、心の「しこり」のような思い出が誰にも1つや2つはあるものだ。

一方で、当時はお礼を言えなかったけれども、今でも温かい思い出として残っている「感謝」の気持ちを抱いている人もいるだろう。

そこでJタウンネットでは、読者の皆様の「今さらかもしれないけれど謝りたいこと」や「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

(※なお本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)

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