ジビエが苦手な店主が厳選する猪肉、ミネラル溶けだす特製石鍋... 冬の丹波篠山で味わうこだわり「ぼたん鍋」5選
昨年、自転車で丹波篠山の町を観光したJタウンネット記者。歴史を感じる街並みや自然の中を、爽やかな空気を感じながら巡る「サイクルツーリズム」は、以前レポートした通り素晴らしいものだった。
自転車での旅にすっかり心を掴まれてしまった。そして、旅の途中で出会ったもう一つのものにも。
――ぼたん鍋である。
ボタンの花のように盛り付けられたイノシシの肉とたっぷりの野菜。いい香りが漂うつゆで煮込んで食べたあの味が、忘れられない。
新型コロナウイルスの影響で、気ままに外出することができない今。おうち時間で「遠出できるようになったら行きたい場所」を探している人もいるだろう。
その候補にぜひ丹波篠山を加えてほしいと思うくらい、初めて食べたぼたん鍋は最高だった。
というわけで今回は、丹波篠山市内でおいしいぼたん鍋を食べられるお店を、5軒ピックアップして紹介したい。いずれも、記者がサイクリングでの観光で出会った地元民お墨付きのお店だ。
冬にしみる、特製だし
1,JA丹波ささやま直営店・特産館ささやま
初めに紹介するのは、市内唯一のビジネスホテル「丹波ささやまホロンピアホテル」から車で13分の「JA丹波ささやま直営店・特産館ささやま」だ。
名前の通り、「JA丹波ささやま」直営の店舗で、特産品の直売所がレストランに併設されている。
このレストランでは冬限定(11月~3月)メニューとして、天然の猪肉を使った「天然猪 ぼたん鍋」(5500円・価格はすべて税込み)や「天然猪 しし鍋定食」(2500円)などを提供している。
同店のぼたん鍋の特長は、白みそ仕立てのあっさりした特製だし。寒い冬に食べれば、やみつきになること請け合いだ。
中でも「天然猪 しし鍋定食」は、天然しし肉を使った鍋を、1人でも贅沢に味わえる人気メニュー。鍋とご飯の他、小鉢と漬物も付いてくる。
さらには、天然しし肉と特産山の芋のとろろが絶妙にマッチする「天然猪 ししとろ丼」(1650円)や、しょうゆベースの自家製だしで煮込んだ、手切りでスライスした天然猪肉とそばとの相性がたまらない「天然猪 ししそば」(880円)も。
天然の猪肉をさまざまな食べ方で楽しみたいなら、ぜひ立ち寄りたいお店だ。
2, お食事処 山門
お次は、リーズナブルにぼたん鍋を楽しみたい人におすすめの「お食事処 山門」。
同店の公式サイトでは、「丹波の猪肉がウマイ理由」として、丹波篠山の肥沃な土地を挙げている。
岩山が多く、起伏に富んだ丹波篠山は、たくましい体のイノシシを育てる。さらに、イノシシは山の芋や稲、ドングリのような木の実等、あらゆる農作物を食べる。おまけに、丹波篠山では寒暖差が大きいため、11月には霜が出始めてイノシシの身を引き締めるのだという。
これらの要因が組み合わさった結果、コレステロールがたまりにくい良質の脂がのりきり、ジューシーでありつつも淡白な猪肉ができあがるのだとか。
そんな丹波篠山自慢の猪肉を、比較的お手頃な価格で味わえる「山門」。冬季限定・昼メニューの「ぼたん鍋定食」は1980円と、他店に比べてかなり注文しやすいお値段である。
もちろん、品質は一級品。食事だけでなく、手切りでスライスしたぼたん鍋用の生肉等も販売している。
ジビエが苦手(!)な店主のこだわり
3, ぼたん鍋処 如月庵(にょげつあん)
「ぼたん鍋処 如月庵」は、専用の栗入り味噌を使った「特製ぼたん鍋」が楽しめるお店。
ぼたん鍋の価格は6000円~と、他4店に比べると比較的高めな分、特上カルビを中心としたハイクラスな肉を楽しめる。公式サイトではズバリ「如月庵の猪肉はなぜ高い?」と題し、同店の猪肉へのこだわりをブログ記事の中で吐露している。
「どうして如月庵の猪肉は高いのか?(中略)
外食大好きで、食べ道楽な私が味、見かけ、鮮度など独断と偏見と我が儘でふるいにかけるからです。またそもそも私はジビエが苦手です。フランス料理やイタリアンでも勉強のため、子羊、鹿、猪を食べますが少しの臭みも気になります」
「猟師さんが『今日よいのとれたで!』
私(味見するまで信じてません)
卸屋さんが選んでもって来てくれたお肉も、大変申し訳ないですが、味見して、気になると返品ばんばんします。ゴメンナサイ。
結果、高くなります」
なんと、ジビエが苦手な店主が味見をした上で厳選した猪肉を使っているのだ。同様にジビエに苦手意識があるという人でも、美味しく食べられるに違いない。
なお同店では猪肉と、専用栗入り味噌の通販も行っている。
4,「石焼工房 四旬(しーずん)」
ぼたん鍋はもちろんのこと、天然石の石板を使った、猪肉の石焼も人気なのがこのお店。
天然の猪肉と、無農薬で自家栽培したお米や季節の野菜など、厳選素材を天然石の上で焼いて味わえるのだ。
最高の素材たちを遠赤外線効果で焼き上げる、「石焼き」。公式サイトでは「肉本来の濃厚な旨味を凝縮させる最高の料理法」と、説明されている。直火に比べて煙があまり出ないため、衣服などに臭いがつくのも抑えられるそうだ。「焼肉は臭いが気になる」という人も安心して訪れられるだろう。
また、ぼたん鍋にも特製の「石鍋」が使われている。
遠赤外線で調理することで煮崩れせずに中まで味がしみ込むだけでなく、自然石のミネラルが溶けだすことでまろやかな味に仕上がるそうだ。
観光のあとゆっくり過ごせる、ホテルぼたん鍋
5, 丹波ささやまホロンピアホテル
トリを飾るのは、JR福知山線・篠山口駅から徒歩5分と、抜群にアクセスの良い「丹波ささやまホロンピアホテル」。
最安値は1泊3680円(税込み)~と、リーズナブルに泊まれる豊富な宿泊プランの中でも、イチオシはやはり「ぼたん鍋コース」である。
夕食のメニューは以下の通り。
・季節のおばんざい盛り合わせ
・本日のお造り五種盛り
・丹波篠山産野菜と魚介の天ぷら
・鯖寿司
・丹波篠山天然猪のぼたん鍋
・〆の讃岐うどん
・甘味
(※日にちによりメニュー・食材が変わる場合あり。)
天然の猪肉を、篠山産の「オレンジ白菜」など新鮮な地元野菜といっしょに味わえる。煮込めば煮込むほど柔らかくなり、旨みがじっくり染み込んだぼたん鍋をぜひご賞味あれ。
なお、宿泊特典として夕食時に1人につき1杯、生ビールのサービスも(ソフトドリンクも選択可)。市内観光の後、時間を気にせずゆっくりぼたん鍋を楽しみたい人にはおすすめのプランだ(オーダーストップは23時)。
さて、気になるぼたん鍋はあっただろうか。猪肉はもちろん、野菜やみそ、加熱法に至るまで、それぞれにこだわりや工夫が詰まった、丹波篠山・冬の名物である。
心置きなく遠出ができるようになった暁にはぜひ、実際に現地を訪れてお気に入りの「推し」ぼたん鍋に出会ってほしい。
なお、ぼたん鍋のシーズンは3月15日まで。