タイトルは「永遠の友情」 西郷隆盛と大久保利通の「ズッ友」な像が話題→込められた思いを聞いた
崩れやすいのは、シラス(火山灰)製だから
出水市は、ツルの渡来地として知られる人口約5万人の小さな町だ。九州新幹線の停車駅・出水駅もあり、観光に力を入れているらしい。冒頭に紹介した「西郷・大久保像」は、出水駅から車で5分ほどのところにある「出水市麓歴史館」に設置されている。
出水市観光交流課の担当者は、「西郷・大久保像」設立のきっかけについて、こう説明した。
「2018年、明治維新150周年や大河ドラマ『西郷どん』で、鹿児島県全体が注目を浴びる年ということで、出水市でも何かできないか、と始めたのが『明治維新シラス像パーク』です。西郷・大久保像を含めて全部で8箇所10体のシラス像を設置しました」(出水市観光交流課担当者)
では、西郷・大久保の「永遠の友情」像の狙いは、何だったのか? 担当者に尋ねると、次のように答えた。
「企画の狙いは『永遠の友情』です。企画が始まる段階でいっぺんにすべての像を制作するのではなく、『西郷どん』放送期間中に徐々に増やしていきました。出水麓歴史館のシラス像はイベント開始時2017年12月に西郷隆盛像を作成し、イベント最後の砂像として2018年9月に大久保像を作成しました」
「ドラマの序盤では西郷隆盛と大久保利通の仲は良いのですが、ストーリーが進むにつれて、二人の進む方向に齟齬が生じ、後半は『仲違いした』とのイメージになっています。しかしながら、盟友とされる二人の最後がそのイメージでは悲しいということで『永遠の友情』像の作成に繋がりました」
この像は、シラス(火山灰)で作られている。火山地帯である鹿児島をイメージさせる材料として用いたと言うが、非常に崩れやすい性質を持っているそうだ。
そのため、設置されたすべてのシラス像には、破損防止のために「絶対に触れないでください」と注意書きがされている。決して西郷と大久保の友情が崩れやすいから、という意味ではない。
そんな物理的に崩れやすいという「永遠の友情」像だが......なんとも力強い作品だ。いったいどなたが創ったのか? と聞いてみた。
「作者は、出水市内に住む吉野弘一さんという方です。鹿児島には、吹上浜砂の祭典という大規模な砂像のイベントがあります。吉野さんは第1回大会の優勝者です。また、国外でも数々の賞を受賞されるなど、世界的サンドアーティストの第1人者です。これ以外にも出水市ではいずみマチ・テラスという竹灯籠のイベントがありますが、こちらでもさまざまな作品を生み出されています」(出水市観光交流課担当者)
そこでJタウンネット記者は、吉野さんにも電話で話を聞いてみることに......。