「恋人に突き放され、『最後』の一人旅に出た私。立ち寄った思い出の駅で、声をかけてきたのは...」(神奈川県・50代男性)
旅に出る理由は、人によってさまざまだ。友人や家族と楽しく観光をしに行く場合もあれば、ひとりでのんびり景色を眺めに行くという人もいるだろう。
神奈川県在住の読者、Mさん(50代男性)は、「人生を終わらせる」ことを目的とした一人旅に出た。
頼りにしていた恋人に突き放され、人生を諦めてしまったMさん。
気づけば彼女との思い出の地である北海道でひとり、レンタカーを走らせていた。
かつて訪れた場所をただ巡っていく。その旅の中である人に出会い、彼は今、生きている。
Mさんの人生を変えた優しい出会いを、一緒に振り返っていこう。
思い出の場所を巡って...
以前、頼りにしていた彼女に突き放されたときのことです。
気づけば一人きりで、思い出の北海道に足を踏み入れていました。完全に人生を終わらせるのが目的でした。
レンタカーを借りて思い出の美瑛や富良野を走り、上富良野駅にも立ち寄りました。そこも、彼女との思い出がある場所です。
ふらりと駅舎の中に入り、呆然と行く場所を探していたら、
「去年のだけど、記念にどうですか?」
と声をかけられました。
いつの間にか年配の駅員さんが居て、私に来場記念シートをくれました。
「また必ずここに来なさいよ」
「ありがとうございます」
小声でそう返しただけで、あとは無言でいた私に、駅員さんはいろいろ話しかけてくれました。
「どこからいらしたの?」
「今はオフシーズンだから、どこを紹介しようかな?」
その言葉に私も少しずつ反応するようになり、しばらくすると笑顔も出るようになりました。
しばらくして、そろそろ移動しようと、あいさつをして駅舎を出ようとした私に、駅員さんは手を振りながら
「また必ずここに来なさいよ」
と言ってくれました。
私は駅員さんが気持ちを察してくれていたんだと分かり、あっという間に大量の涙が。そのまま車に乗り込み、駅を離れました。
それから、数年後。ふたたび上富良野駅を訪れて駅員さんと再会することができました。私は、泣きながらお礼を言いました。
「そんな事あったかな?」
駅員さんが、恥ずかしそうに答えてくれたところに、不器用ながらも深い優しさを感じました。
いま、私が元気でいるのは、その駅員さんのさりげないお気遣いがあったからです。
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
Mさんのただならぬ雰囲気を察したのか、いろいろと話しかけてくれた駅員。人生を終わらせるための旅で、その不器用な優しさに触れたことで、Mさんは今も元気で暮らすことができているのだという。
皆さんにも、旅先でのほっこりした話、素敵な出会い、思い出に残っている体験談はあるだろうか。
Jタウンネットでは読者の皆様の「旅先いい話」を募集している。
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