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まさに「努力の結晶」だ 公認会計士志望者が建立した、天井スレスレの「教材タワー」に反響

福田 週人

福田 週人

2021.11.12 20:00
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「公認会計士」という肩書きを目にしたことがある人は多いだろう。企業や法人などを対象とした会計・監査業務の専門家だが......その資格を得るためのハードルがどれほど高いか、皆さんはご存じだろうか。

まずは、毎年行われている国家試験「公認会計士試験」に合格する必要がある。そして、実務経験を積み、補習所に通い、最後の「修了考査」に合格してやっと、国家資格を得られるのだ。

その長い道のりのスタートラインともいえる公認会計士試験の合格率は、2020年度は10.1%、その前年の19年度は10.7%(いずれも合格者数/願書提出者数)とかなりの狭き門である。

一体どれほど勉強しなければいけないのか......その凄まじさが一目でわかる一枚の写真が、ツイッターに投稿され、注目を集めている。

た、高い!多い!(画像はQLクライシス@QLifecrisisesさんのツイートより、以下同)
た、高い!多い!(画像はQLクライシス@QLifecrisisesさんのツイートより、以下同)

こちらは、大阪府在住のツイッターユーザー「QLクライシス」(@QLifecrisises)さんが2021年11月8日に投稿した写真。

白い壁の部屋の中に、大量の書籍やファイルが積み重ねられている。これらは全て、QLクライシスさんがこれまで公認会計士の勉強のために使用してきた参考書や資料だ。

しかもただ積まれているのではなく、まるでタワーのような形になっており、その高さは部屋の天井にまで届きそうなほど。

膨大な量の書物と芸術的なシルエットに圧倒される「教材タワー」に対し、ツイッター上ではこんな声が寄せられている。

「これが積み上げてきた実績かぁ」
「頭に燦然と輝く電卓よ......」
「建築を頑張ってどうするw」
「天井いっぱいな努力の積み重ねに、敬意を表するしかありません!」

Jタウンネット記者は11月10日、「教材タワー」について投稿者に話を聞いた。

総制作時間は約7時間

QLクライシスさんが公認会計士になるために勉強を始めたのは3年前。

話題のタワーは8日、その3年間の勉強で使った教材や資料の全てを積み上げたものだ。

それをなぜ、タワーの形にしたのか。QLクライシスさんに理由を聞くと、「試験勉強を頑張った成果として、テキストを積み上げたものをツイッターに投稿する」というのは、過去に試験に合格した先輩たちもやっていて、いわば「風物詩のようなもの」だという。

「(先輩たちのように)僕も勉強を頑張った成果を記録として残しておきたかったんです。
ただ、どうせ作るならクオリティの高いものを作ろうと思っていました」(QLクライシスさん)

そこでQLクライシスさんは、書店で人気の書籍が発売されるときに行われる「タワー積み」に着目した。

タワーの下部分には分厚いファイル類が
タワーの下部分には分厚いファイル類が
「(タワー積みは)見ているだけでも楽しいですよね。公認会計士試験の大変さとタワー積みの見栄えのインパクトを同時に表現したらとっても面白そうだと思ったのが、教材を積み上げてタワーにしたきっかけです」(QLクライシスさん)

QLクライシスさんの別のツイートによると、試行錯誤を含めた総制作時間は約7時間。全長は216センチメートル、重さは143.8キログラムで、使用したテキストや資料は実に合計228冊という超大作だ。色々な意味で、まさに努力の結晶といえるだろう。

電卓は「全てを統括する神のような存在」に

タワーを作るにあたって、QLクライシスさんは随所に遊び心を散りばめるように工夫したそう。

例えば、公認会計士試験にとっての最重要アイテムであるという電卓は、

「全てを統括する神のような存在になってもらうために、タワーの一番上に設置しました」
電卓はタブレット用スタンドを使って立てている
電卓はタブレット用スタンドを使って立てている

一方で、プラスチック製のファイル類は平積みにするとツルツルと滑って土台から崩壊してしまい、その点には苦労したという。

「積み上げる順番や向きを調整して試行錯誤しましたが、全て厚さが異なるため総重量100kgオーバーの重さには耐えられませんでした。
そのため、ファイルは立てて円形に並べ、その上に足場となるテキストを薄く敷き詰めて対応しました」(QLクライシスさん)

総制作時間7時間のうち、試行錯誤に費やした時間はおよそ5時間。積み上げるまでには、多くの困難が立ちふさがっていたようだ。それだけに、完成直後は達成感で胸がいっぱいだったという。

その後、タワーは慎重に解体して、使った教材は部屋の隅においてあるそうだ。

不合格なら来年は「ツインタワー」を...

QLクライシスさんは10日現在、8月に受験した公認会計士試験の一つである論文式試験(年に一度行われる記述式の試験)の結果を待っている。合格発表は11月19日だ。

タワーの材料の教材たち
タワーの材料の教材たち
「合格できていれば、部屋に置いてある大量の教材も無事に廃棄することができます。
不合格であれば、2022年目標の教材たちがさらに増えるため、来年はツインタワーを作ることができるかもしれません」

とQLクライシスさん。それはそれで見てみたい気もするが、今回の試験で無事に合格できることを祈るばかりだ。

ツイッター上でも、QLクライシスさんの努力を讃える声や応援メッセージが多く寄せられている。こうした反響に対しては、

「最後まで諦めずに公認会計士試験に向き合った甲斐がありました。
今回は僕の事例を紹介しましたが、本気で努力している公認会計士受験生はほぼ例外なくこれくらいの教材を使い倒しているはずです。
皆さんの知人にも難関試験に挑戦する方がいたら、すぐに結果が出なくても本人は合格に向かって必死に闘っているはずなので、どうか暖かく見守って下さると幸いです」

とコメントしている。

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