「登山の必須アイテムを、途中で失くしてしまった。絶望する私に向かって、山小屋のオヤジが...」(神奈川県・50代女性)
登山をする時に必要な物はたくさんあるが、太陽の光や紫外線から目を保護するため、サングラスを持っていくという人は多いだろう。
日光だけでなく、強い風や砂埃が目に入らないようにすることで視界を確保し、安全に山道を進むこともできる。それだけに、登山中にサングラスをどこかに落としてしまったり、失くしてしまったら厄介だ。
コロナ禍でなかなか旅行に行けない今、かつての楽しい思い出を振り返ろうとJタウンネットが「旅先でのいい話」を募集したところ、神奈川県の50代女性K奈さん(仮名)から、まさにそんなエピソードが寄せられた。
富士登山に初チャレンジしたK奈さん。五合目地点を出発して10分ほど経った時、サングラスが無いことに気がついた。
ここまで来て引き返すわけにもいかず、途中の山小屋で販売されていることを祈り登山を続行。しかし、山小屋でサングラスは「販売していない」とのこと。
途方にくれる彼女。すると、店主が声をかけてきたという。
「少し待ってて」
「2015年の7月末夏頃、1度は行っておきたい富士山へ初チャレンジした時の思い出です。
5合目で1時間ほど身体を慣らして出発し、須走ルートを登り始めて10分くらいのところで、サングラスが無いことに気が付きました」(K奈さん)
どうやら、どこかで失くしてしまったらしい。富士山を登るのにサングラスが無いのは心もとない。しかし、だからといってここで登山を中止したくもない。
そう考えたK奈さんは、
「富士山だよ?サングラスくらい、途中の山小屋で売ってそうな気もする」
という希望を持って登山を続行。最初の山小屋を目指し、無事に到着した。
「でも、山小屋の主人にサングラスを販売しているか聞くと、『販売していない』とのこと。絶望感いっぱいだったけど、とりあえず休憩だけでもすることにしました」(K奈さん)
これからどうしたものか、と悩むK奈さん。しかし、そんな彼女の姿を見かねたのか、山小屋の主人が「少し待ってて!」と声をかけてきたという。
山小屋の主人が差し出たのは...
「売ってないのに『待ってて!』とは何事かと思っていたら、なんと『他の人の忘れ物だけどこれで良ければ使って!』と言って、フレームがヒョウ柄のサングラスを持って来てくれました。
しかも、売り物じゃないのでお金は貰えないって事で、無料で譲ってくれたんです」(K奈さん)
K奈さんがありがたく受け取ったそのサングラスは、翌日に彼女が下山するまで大活躍だったという。
「あのサングラスがなかったら紫外線で目がやられていたと思いますし、お陰様で雲海やご来光もちゃんと見れて、目いっぱい富士登山を楽しめました。
山小屋のオヤジさんって無愛想な方が多いイメージだったのですが、山を愛する人ってやっぱりあったかいな、と思い直しました。
あの時は本当にありがとうございました」(K奈さん)
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
コロナ禍で旅行に行きづらい今、せめて過去の旅行の素敵な思い出を振り返りたいという人も多いだろう。
そこでJタウンネットでは読者の皆様の「旅先のほっこりエピソード」を募集したい。
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