「JR西日本を表現する木」が見るも無残な姿に... なぜこんなことに?駅長に真相を聞いた
JR西日本の福塩線・府中駅(広島県府中市)には、こんな看板がある。
「まごころの木」と名付けられた、駅の中にあるクスノキを紹介するものだ。
なんでも、クスノキは近畿・中国地方で多く生産され、「生長こそ遅いが徐々に立派な大木となり価値ある木となっていく」とのこと。
その木を植えることによって、
「JR西日本が地域と共に手堅く着実に立派に大きく成長し価値ある企業であることを表現」
しているらしい。
その「まごころの木」が、こちらだ。
2本のクスノキはばっさり切られ、後に残っているのは切り株だけ......。
これら2枚の写真は、ツイッターユーザーの海垣(@ride626)さんが2021年9月9日に投稿したものだ。
府中駅の2番のりばで、8月21日に撮影したという。
JR西日本が価値ある企業であることを表現しているはずの「まごころの木」が、なぜこんな無残な姿になってしまったのだろうか。なんだか不吉......。
いや、きっと何か事情があるに違いない。
Jタウンネット記者は16日、府中駅を取材した。
駅長「木は生長したんですけどねえ」
取材に応じた駅長によると、まごころの木である2本のクスノキは、1991年、「府中鉄道部」(JR西日本内の組織。2008年に廃止)によって植えられた。
しかし、2015~2016年ごろ、写真のようにどちらも切られてしまったのだ。
その理由について、駅長はこう語った。
「(クスノキが)伸びてしまって、枝や葉なんかが、電車の上の方の電気が通る部分に当たって危ないということで切ることになりました。
あとは、落ち葉が非常に多くて線路の上にまで積もってしまい危ないというのもありましたね」
クスノキがしっかり育ったからこそ、電車を安全に運行する上で、切らざるをえなかったわけだ。
しかし、まごころの木はJR西日本の象徴のようなものだったはず。それがばっさり切られた写真がツイッターで注目されていることを伝えると、駅長は吹きだした。
「ふふふ。まあ、木は生長したんですけどねえ」(駅長)
20年以上すくすくと生長していた木を切ることに、反対意見はなかったのだろうか。
「そういう話は聞いていないですね」(駅長)
当然ながら、安全が最優先だった、ということだろう。
「まごころの木」の看板は外すことを駅長に勧めたかったが、余計なお世話かと思い記者は黙っていることにした。