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「怖い体験」を100円で買い取ってくれるお店があった 尼崎の怪談作家が営む「売買所」に注目集まる

福田 週人

福田 週人

2021.06.26 08:00
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「怪談」で誰かの役に立つことが出来る

「怪談売買所」への反響について、宇津呂さんは、

「実際に来られた方からは『面白かった』『これは発明ですね』などと好意的な感想を言っていただくことも多くあります。怪談が好きだという方だけでなく、意識して怪談を聴いたことがないといった方にも楽しんでいただくことが出来ているようです。
そういった様を見るにつけ、怪談は老若男女問わず、誰もが楽しめる日本の文化であるということを実感します」

と述べた。

中には宇津呂さんに体験を語った後、「すっきりしました」と言って嬉しそうに帰る人もいるという。

「怪異な体験というのは、それ自体、自身の中で理解することが難しいものです。
どう理解すればいいのか、どう処理すれば良いのかが解らず、いつまでも頭のどこかで燻り続けていることがあるのです。かといって、それは誰にでも話せるものではありません。
まともに取り合って貰えなかったり、一笑に付されたり、酷い時には頭がおかしいんじゃないかなどと思われたりすることもあります。どこにも持っていくことが出来ないその体験、それを誰かに真剣に聞いてもらうことにより、解決はしないものの少しすっきりすることが出来る、そんな効果もあるようです」(宇津呂さん)

「どちらかといえば一般的に忌み嫌われている怪談で誰かの役に立つことが出来る」というのは、宇津呂さんにとっては「痛快であり、とても嬉しいこと」なのだそうだ。

「怪談は日本という土壌が育んだ文化です。文化は、人や社会が必要としているからこそ生まれるもの。そして現在でも怪談が夏の風物詩として社会的に認知されているということは、まだまだ怪談文化が日本人から必要とされているからだと考えられます。
怪談売買所はそんな怪談文化に誰もが気軽に、簡単に触れられる場として機能しているのかもしれません」(宇津呂さん)

読者の皆さんの中で、「これは」という体験談を持っている人は、宇津呂さんの「怪談売買所」に足を運んでみてはいかがだろうか。

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