奈良県庁前の交差点で、非地元民がクラクションを鳴らされがちな理由
車を運転する人にとって、もっとも気を付けなければならないことの一つが、交差点での右左折だろう。
2021年6月5日に投稿された次のようなツイートが、いま話題になっている。
写真は、とある交差点のようだ。
前方に赤信号が見える。左手には白地に青い矢印の標示板。その下には「左折可」の文字が。
「他府県の車は98%クラクション鳴らされる交差点...。何故だか分かりますよね?」というコメントが添えられている。
ここで、後ろからクラクションが鳴らされる車が多いらしい。
「物申す運転手。」(@futton61)さんが投稿したツイートには、7900件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散しているようだ(6月9日昼現在)。
ツイッターには、こんな声が寄せられている。
「教習所で習っているはず、左折については信号と関係なし」
「常時左折可の標識に気が付かないドライバーが多いということですね」
「常時左折可だと停止線のない交差点が多い気がします。基本的に止まらなくて良い停止線があるので分かりづらい気が......」
「停止線が紛らわしいですね」
Jタウンネット記者は、投稿者の「物申す運転手。」さんと、奈良県警察本部県民サービス課に取材した。
「左折可」の視認性に問題はない、と県警本部
投稿者の「物申す運転手。」さんによると、撮影したのは6月6日の9時過ぎ。
場所は、奈良県奈良市の県庁東交差点、近鉄奈良駅前の国道369号線を東へ向かった奈良公園の中にあるそうだ。
「個人的にはこの地域に住んでいたので、見にくいとは感じたことがありませんでした」と語る投稿者だが、ツイッターでの反響には少し驚いたようだ。
「僕自身、今まで左折可の看板しか気にしていなかったので、『停止線があるからややこしい』と言う意見が物凄く多いのはビックリしました。
地域によっては見たことのない方がおられたようです。『教習所に通ってる所でいい勉強になりました』など嬉しいコメントもいただきました」
「白地に青い矢印」の標示板は「左折可」の標示板。この表示がある場合、前の信号が青でなくても、車は左折することができる。
ただ、比較的珍しい標示板で、一番左の車線にも右隣の車線と同じように停止線が引かれていることもあり、この道を走りなれていない人はここで信号が変わるのを待ってしまうのかもしれない。
ちなみに「青地に白い矢印」は「一方通行」の標識なので注意が必要だ。
次に、Jタウンネット記者は奈良県警察本部県民サービス課に聞いてみた。広報担当者から次のような回答が返ってきた。
――「県庁東」交差点に入る一時停止線で、左折しないで停止してしまう車が時々見かけられるそうですが(特に他府県の車)、これについてどのようにお考えですか。
「『左折可』の交通規制は、信号により停止位置を越えて進行してはならないとされている車両に対して、左折することができることとし、交通の円滑を確保するものです」
「『県庁東』交差点については、車両が交差点に向けて東進、西進、北進してきた場合、対面する信号機の灯火の色にかかわらず左折することができますが、『左折可』の標示板及び『左折可』の補助標識をそれぞれ信号機の下方及び交差点手前の左側路側部の2か所に設置しており、視認性にも問題はないと考えています」
「都道府県によって同規制の実施数に多寡があるため、同規制を見かけることの少ない都道府県から来県された方は馴染みが薄く、停止してしまうのではないか、と思われます」(奈良県警察本部)
――「県庁東」交差点の左折可標識が常時」左折なのかどうか、分かりにくいという声がツイッター上で話題になっておりますが、これについてコメントをお願いします。
「『県庁東』交差点に向けて東進、西進、北進してきた車両は、常時左折することができます。
しかし、対面する信号機が赤色灯火の時に左折しようとする場合は、交差道路を右から青色灯火に従って車両が直進してきますし、対面する信号機が青色灯火の場合は、対向車両が右折してきますので、交差点の交通状況に注意して、安全な速度と方法で左折することが必要です」
またツイッターなどSNSで話題になっていることについては、「奈良県警察では、交通実態に応じた交通規制の見直しを随時行っており、今回は貴重なご意見をいただいたと考えております。車両を運転する際は、進行方法に設置された信号機、道路標識、標示板等に注意し、交通規制をよく確認の上、進行するようにしてください」とコメントした。
車を運転して、夏休みに出かけよう、と計画中の皆さん、交通規制を再度ご確認の上、お出かけを......。