誰が何のために...? 浅草のマンションに張り付く、超巨大カブトムシの謎を追う
昆虫博のために作ったが...
取材に応じた広報担当者によると、写真の巨大カブトムシは、昔、岐阜で行われた「昆虫博」のために依頼されて製作したものだと言う。開催された当時は、昆虫博を代表するような、ランドマーク的な存在として展示されたそう。
「その昆虫博が終わった後、(カブトムシの)行き場がなくなっちゃったので店に飾ったんです」
なんでも、捨てるのはもったいなかったのだとか。
同じく昆虫博で展示された他の昆虫の模型もあったそうだが、一部は岐阜の工場に移動し、中には処分したものもあると言う。
今回のカブトムシが合羽橋店の2階に設置された時期ははっきりとはわからないものの、少なくとも10年以上は昔とのこと。
やはりこのカブトムシも、食品サンプルの技術で作られたのだろうか。
「実はカブトムシよりさらに前に、先代の社長が実物大のクジラ(の模型)を作ったんですよ。それは依頼されたわけではなくて、ライフワークとしてね。
だから大きさから考えても、そのクジラと同じ技術でカブトムシも作られたんだと思います」
等身大のクジラの模型を作った際は、まず実物よりもはるかに小さい模型を作り、それを大きく作り直すやり方で製作されたと言う。
食品サンプルの場合は、たとえば一口に「ハンバーグ」といっても、それを展示する店舗によって大きさや質感は異なる。そのため、本物を使って型を取り、それに材料を埋め込んで本物そっくりの模型にする。
しかし、クジラや巨大カブトムシのように、本物から型を取れないものを作る際は、まず小さな模型を作る。そして、その比率を変えずに大きいバージョンを完成させるというわけだ。
ちなみに、クジラの等身大模型を作った時は、体に貼りついたフジツボやクジラジラミ(クジラの身体に寄生する甲殻類の一種)のような小さい部分も再現されたが、それは食品サンプルと同じ工程で作られたそう。
合羽橋店の巨大カブトムシは、食品サンプルのイメージとは合わないものの、模型作りの技術が応用されたものだったのだ。
今回の投稿に、リプライ欄では
「気絶しそう」
「こんなんベランダに居たら秒で泣くわwww」
「乗り物ですね」
「裏側めっちゃ気持ち悪そう」
など、その迫力に戦慄する人々の声が多く寄せられている。
度胸のある者は、実物を見に行くのもいいかもしれない。
※現在、「元祖食品サンプル屋」合羽橋店は、緊急事態宣言の延長を受けて臨時休業中。