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カルピスを作ったら、下の方だけ濃くなっちゃってる←この状況を3文字で言い表せる方言があった

井上 慧果

井上 慧果

2021.05.05 18:00
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日本各地に存在する「標準語ではうまく説明できない方言」や「意味が限定的すぎる方言」。

地元であれば一言で意味が通じるのに、いざ標準語にしようとするとどう説明していいか分からない。

何とか言い換えても、細かなニュアンスが上手に伝わらず、もどかしい思いをしている地方民も多いとか。

Jタウンネットでは、そんな方言の情報を募集している。

今回は全国から届いている投稿メールの中から、「とごる」という方言を紹介する。

「とごっている」ときはよくかき回すといいらしい

三重県在住の50代男性から、編集部にこんなメールが届いた。

「とごる

これは三重県および一部の愛知県で使われる方言のようです。

意味としては、『下の方が濁っている。濃い』。
ただ、いわゆる沈殿とは微妙に異なります。
一般的使われる沈殿は、液体の下方に固体が結晶化し堆積している状態を指すのだと思います。
『とごる』は、液体の底の方で、別の液体の成分濃度が高い状態や、結晶化していない微細な固体が堆積している状態を指します。
固体の場合は、化学用語の沈殿に含まれるのかもしれません。

ただ、微細なニュアンスを表現できる絶妙な言葉だと思います」

その使用例を、投稿者の男性は以下のように説明する。

「カルピスや濃縮ジュースを薄めたときに、上の方の味が薄くて下の方の味が濃いときなど。
『カルピスとごってるやん。ちゃんとかき回さな』と使います。
カクテルなども同様で、水、アルコール、果汁、フレーバー、色素液など、密度が異なる液体が混在している時に使います。
濁り酒などを表すときも『めっちゃ、とごっとるやん。ええ感じやなぁ』と言います。

あとは、コーヒーや紅茶などに砂糖を多量に入れたときなどにも『とごる』は起こります。最初は暖かいので単なる甘い飲み物が、時間が経つと冷めて徐々に溶けきれなくなり、砂糖が析出してきます。
このとき、底の方は砂糖の味しかしなくなりますので『めっちゃ、砂糖とごっとるやん。こ~(濃い)』という感じに使います。

標準語だと、『底の方に沢山砂糖が沈殿していて、このコーヒー甘いな~』とでも言うのでしょうね」
コーヒーに砂糖がとごってる?(画像はイメージ)
コーヒーに砂糖がとごってる?(画像はイメージ)

また、愛知県の三河地方在住の30代女性からも

「地元で使われている『意味が限定的すぎる方言』または『標準語にするのが難しい方言』は、なんと言っても『とごる』ですね。
標準語にするなら『なにかが沈殿している』『液体中になにかが溶け残っている』でしょうか。

例えば、お湯に溶かして飲むタイプのココアやコーンスープを作ったときに『とごっとるかもしれんで、よく混ぜりんよ(とごっているかもしれないから、よく混ぜなさいよ)』と言ったりします」

といったメールが届いている。

神奈川県出身・在住の記者は初めて聞いた言葉ではあったが、カルピスがよく混ざっておらず「とごって」いたり、粉末のコーンスープがきちんと溶けておらず「とごって」いた経験はたくさんある。

飲み物が溶け残っていたり沈殿していたり......といった遭遇するとちょっと悲しい、日常の中のあるあるな状況をどちらも一言で表現できるとは、なんとも便利な方言である。

「日本方言辞典(小学館、ジャパンナレッジ版)」によれば、この「とごる」は、

「沈殿する、よどむ」

といった意味で、投稿があった三重、愛知だけではなく奈良県と和歌山県の一部でも使用されているそう。

また、愛知と岐阜の一部地域では

「煮こごる」

という意味でも使われていると記載されていた。

あなたの地元の「標準語で説明できない方言」教えてください

読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、あなたの地元と、そこで使われている「意味が限定的すぎる方言」または「標準語にするのが難しい方言」、その使用例(200文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

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