「光る棒」を振り回してる...? 富山の春の風物詩「ホタルイカの身投げ」がオタ芸にしか見えない件
発光器で求愛・防衛
オリジアス荘内さんが動画を撮影したのは、10日の午前2時30分ごろ、富山県でのこと。
映っているのは、「産卵のために接岸したホタルイカが打ち上げられる、富山の春の風物詩である身投げと呼ばれる現象です」と、教えてくれた。
どうやら、動画に収められているたくさんのホタルイカたちは、産卵のために沖から浜辺へと泳いできたようだ。
富山県ほたるいか協会が運営する情報サイトには、
「ホタルイカは富山湾に産卵のためにやってきます。3~6月に群れをなして富山湾に押し寄せるのは、そのほとんどが腹に卵をもった雌、雄は数千尾に1尾しかいないといいます。
(略)
産卵期の雌は昼は水深200mの海底付近で生活し、夕方から夜中にかけて浮上し産卵します。
未明には潮の満ち引きによって沖に戻れなくなったホタルイカが波打ち際にたくさん打ち上げられていることがあり、これを地元では『ホタルイカの身投げ』と呼んで春の風物詩になっています」
という記述がある。
では、オタ芸に見える行動は......?
オリジアス荘内さんは、
「ホタルイカは全身に発光器を持っており求愛、防衛などに使用します。その中でも最も強い光を発するのが腕の先の発光器です。
動画ではおそらく打ち上げられた衝撃か、光を当てられたショックで光らせているものと思われます」
と、コメントした。
危険を察知したのか、ホタルイカは推しに熱狂するオタクのように腕を振り回し、身を守ろうとしたのかもしれない。
先述の情報サイト内でも、
「いちばん大きくて強く光る発行器は一対の腕の先に3個ずつあって青白く光ります。皮膚にある発光器は、 ひれを除く全身に700~1,000個あって青と緑の光を放ちます。
発光する理由は、外敵に対する威嚇・幻惑・仲間とのコミュニケーション・餌寄せのためなどといわれています」
と、解説されている。
この貴重な瞬間を捉えた動画は注目を浴び、6万以上の「いいね」や1万以上のRTが集まっている(13日時点)。
リプライ欄でも、
「波にさらわれる時に『あぁ...』って声が聴こえる気がするくらいオタ芸してる」
「これは確実にしてますな」
「流されやすいもんな...オタクも」
など、共感する声が寄せられている。
なお、「ホタルイカをそのまま食べたい」というコメントも多かったそうだが、オリジアス荘内さんは
「ホタルイカには寄生虫がおり、未加熱で食べるのは危険ということを知らない人が多いように思えました。生食用ホタルイカは基本的にしっかり処理されているものが大半なので生で食べたければ売り物を買ってください」
と、慎重に回答した。
国立感染症研究所も公式サイトで、ホタルイカの内蔵に寄生する寄生虫による感染を予防するため、ホタルイカの「踊り食い」や内臓付き未冷凍の刺身は絶対に避けるよう呼び掛けている。
ホタルイカが生食されることは少なくないが、自分で釣ったものや、浜に打ち上げられたものを十分に処理せず食べるのは、やめておいたほうがいいだろう。