超大型巨人の襲来か...? リアルすぎる「ミニチュア電柱」に混乱が止まらない
街中を歩いていれば、あえて探す必要もないほどに目に付く電柱。普段何気なく見ているだけではあるが、それがほぼ毎日となると大体の形状は頭にインプットされているものだ。
今回、そんなお馴染みの電柱の「ミニチュア」を作った人がいると、ツイッターで話題になっている。それが、こちらだ。
写真には、ごちゃごちゃとした電線や街灯がくっついた一本の電柱が立っている。
頂点の部分にくっついている赤線の入った白い碍子(がいし、電線から電線へと流れる電気を漏らさないようにする器具)や、碍子を下から支えて固定している腕金。その下に付いている2つのタンクのような形をしたトランス(変圧器)などを見ても、街中でよく見かけるいたって普通の電柱にしか見えない。が、電柱のすぐそばに添えられた人間の手を見れば、そのサイズ感がはっきりとわかるだろう。
何も知らされていなければ、「え、どこかの街に巨人襲来!?」と勘違いしてしまいそうなほど、ディティールまで本物そっくりのミニチュアだ。
こちらの電柱のミニチュアに対し、ツイッター上では、
「電気工事をしている者です。本物の電柱と見分けつかない程、繊細にお作りになられたのがわかります」
「リアルですね〜。このまま特撮ドラマのセットで使えそうですね!」
「ヤバい、リアル過ぎる。配電のガイシ、支線、それにスパイラルハンガーまで忠実に再現されてるw」
といった声が寄せられている。
製作開始は去年の12月ごろから
話題になっているのは、ツイッターユーザーのHGS model(@ModelHgs)さんが2021年4月10日に投稿した写真。Jタウンネット記者は12日、投稿主のHGS modelさんに取材した。
普段は会社員と個人事業主をしているというHGS modelさん。模型歴は40年ほどで、模型作りは個人事業で使っている山の地面に置いてある事務所(ユニットハウス)で行っているとのことだ。
今回の作品は20年12月から3Dモデルを製作し、3Dプリントで碍子や腕金、トランスといったパーツ造りをコツコツと行っていた。そして、パーツがそろってきた21年3月末ごろより2週間ほどかけて組み立て、完成させたという。
投稿したミニチュア電柱の写真は4月10日、石川県津幡町にある作業場周辺の電柱が並んでいる景色の中で完成と同時に撮影したものだ。
実に3~4か月の制作の末に完成した今回の力作。改めて具体的な制作方法について訊いてみると、HGS modelさんは、
「3Dプリントで作ったパーツを、釣竿を切り出して作った柱に一番上から高圧線、トランス、低圧線、通信線、電柱照明、と順に下に向かって作っていきました」
と説明。また、制作に際してこだわった点としては、
「高圧線の碍子と腕金のジョイント金具等はビール空缶の薄いアルミ板にて製作しました。
電柱を支える支線ワイヤーの玉碍子(トランスの上あたりから斜め下に伸びるワイヤーの中ほどにある白い玉)の表現をリアルに再現出来たと思ってます」
とのことだ。
また、電灯部分も、首の部分に実際に配線を通すなどして、リアルな見た目に仕上がっている。
HGS modelさんは、今回こうしてミニチュア電柱を制作してみて、
「電柱を作るにあたり色々と電柱を見て回りましたが、場所によって架空線(空中に張り渡された電線のこと)の取り回しや腕金の取り付け、支線の張り方や配線処理など様々で、見れば見るほど混乱しました。
電気の需給状況でトランスのサイズも変わってきます。電気を届ける為に工夫や安全対策も色々施してあり、大変な事が理解できます」
と、改めて感想を述べた。普段何気なく見ている電柱だが、その設計には多大な知識と労力がつぎ込まれているということだろう。
ツイッターでの反響について、HGS modelさんは、
「電柱の画像で10万いいねも頂けるなんて驚いてます。沢山のコメントも嬉しく思います。
『中間柱で支線ワイヤーの位置が不自然な気がする』といった指摘や、『50kトランス2台のV結線では複合で容量違いのトランスが自然』といった専門性の高い指摘もあり、本職の方々にも共感して頂けて嬉しく思いました。電柱看板の『のとしん』に反応してくれる地元の方も多く嬉しかったです」
とコメントしている。