「割と精一杯なんだよ!」 お年玉をあげる側になってしまった「大人の哀しさ」描く漫画に共感
子どもの頃、お正月といえばとにかく楽しみだったのが、お年玉。
何を買おうか、いつもなら手に入らない大きなお金を得てワクワクと胸を弾ませていた記憶がある人も多いだろう。もちろん、貯金をしていた、はたまた親に預けていた......という堅実な人もいるかもしれない。
いずれにせよ、子どもにとっては一大イベントであるお年玉を、いつの間にかあげる側になっていた――。
2021年4月3日、漫画家のタカノンノ(@takanonnotakano)さんがそんな大人の切なさを描いた漫画をツイッターに投稿し、話題となっている。
漫画は、お正月らしく親戚一同で集まり、ワイワイと賑やかに過ごしている場面からはじまる。
作品の中心となる姉弟の元に、
「あけましておめでとーございます!」
と挨拶にくる、子どもたち。
にこやかにそれに応じていたが、ソワソワとしたその空気から何かを察してしまう。 子どもたちの目的は、もちろん......。
お目当ては「お年玉」
子どもたちのキラキラとした目にうながされ、用意していたお年玉を取り出す二人。
「いつの間にか貰う側からあげる側になったんだなぁ」
大人として、子どもにお年玉を渡すのは、自分の成長にしみじみとしてしまう瞬間だ。
しかし、ただ感慨に浸っているだけではいられない。
「ぐうッ この金で小説何冊買えただろうか」
......確かに、親戚の子が複数いる場合、そんなに安くは済まない。
年に一度、しかも伝統行事であるとはいえ、そう考えてしまう気持ちは痛いほど分かる。
そんな大人の葛藤をよそに、ワクワクしながらその場でポチ袋をあける子どもたち。
その反応は――。
1人2000円のお年玉に、なんともいえない表情を浮かべている......。
がっかりした態度を隠そうともせず、さっさと次なる親戚の元へと向かう子どもたちを横目に、自分たちの小さい頃の記憶をよみがえらせながら頭を抱える姉弟。
「それで割と精一杯なんだよ!! 大人ってさあ!!」
と涙を流している二人が切ない......。
子どもの頃、大人はお金持ちだと思っていたが、意外とそういうわけではないのである。
「大人になるって哀しいことなんだね」
「物凄く気持ちがわかりますw」
「ああ、子ども達に罪はないんですよね......。
お金を他人にあげるって凄いことです」
「わかる! あげる側になって分かるやつ」
「これマジで地獄 一気に金飛ぶ」
「確かに少ないなと思った事は何回もあるけど大人にも事情があるって事考えないとなw」
「大人になるって本当に残酷やね」
といった反応が寄せられている。
Jタウンネット記者は5日、作者のタカノンノさんを取材し、この作品について話を聞いた。
漫画の内容は「フィクション」とするタカノンノさんは、
「最近は親戚の集まりに全然顔を出していないのですが、うちは集まるとなると結構人数が多いことになります。
もしお年玉を用意するとなると大変だよな......てことは私が子どもの頃に貰っていたお年玉とは、そういう大人の苦労の産物なんだよな......という思いから着想して今回のマンガを描きました」
と、作品を書いた経緯を説明する。
また、今回の投稿が話題となったことについては
「たくさんの人にマンガを読んでもらえるというのは本当に嬉しいです。この機会にぜひ私の他のマンガも読んでいただければと思います。きっと面白いですよ。
このマンガに様々な反応をいただいたのですが、その中で『うちは親戚一同で事前に話し合って、お年玉の値段を一律にしておく』というようなコメントがあり、その手があったかと思いました。
また、『親に預けたお年玉は戻って来なかった』というのもあり、それはあるあるですね」
とコメントした。