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「お菓子の島」が日本にあるって知ってる? 江戸時代から伝わる、平戸の伝統菓子を食べてみた

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2021.02.16 18:30
提供元:平戸観光協会

江戸時代から伝わるお菓子図鑑があった!

一方、平戸では、平戸藩主の松浦家6万石あまりを治め、第29代当主・松浦鎮信(しげのぶ、1622~1703)が茶道の一派・鎮信流(ちんしんりゅう)を確立。これを通じて平戸では盛んに砂糖・菓子文化が育まれた。

そして菓子文化に興味を持っていたという第35代当主・松浦熈(ひろむ、1791~1867)は、6年の歳月をかけて、お菓子図鑑「百菓之図」を制作。ヨーロッパから伝わった菓子や、それをアレンジしたもの、平戸独自のもの、江戸菓子、京菓子など100個の菓子の製法が記載されている。岡山館長はその意図について、次のように話している。

「菓子文化が茶道に欠かせないというのがまず一つあります。さらに平戸はその文化の歴史がありながら、江戸時代後期には長崎菓子、江戸菓子、京菓子というのが全国的には有名になってきました。その大本は平戸だというプライドが熈公にはあって、菓子文化を一つのものにまとめて後世に伝えたのではないかかと考えています」(岡山館長)
「百菓之図」100の菓子の製法が載っている
「百菓之図」100の菓子の製法が載っている

ただ、百菓之図に書かれた菓子は松浦家の御用菓子のような扱いであり、購入できたのは有力な商人など、一部の人々。簡単に庶民の口に入るようなものではなかったという。

その後も百菓之図は、松浦家で代々伝えられた。そして2000年10月、鎮信流などが参加する「平戸大茶会」に際して、松浦家は百菓之図を平戸大茶会の実行委員会に提供した。

実行委員会内にある菓子組合は、その中から「花かすていら」を復元。花かすていらを大茶会で提供したのがきっかけで、復元菓子が作られるようになったという。

現在、松浦史料博物館から依頼を受けて復元菓子を作っている店は「蔦屋」のみだ。

松浦熈公が後世に伝えたかったお菓子とはどのようなものなのか――。気になった筆者は百菓之図に登場するお菓子をいくつか購入して食べてみた。

蔦屋の「カスドース」、金色の高級菓子に見える
蔦屋の「カスドース」、金色の高級菓子に見える

外はパリパリ、中はしっとり
外はパリパリ、中はしっとり

まずは平戸銘菓としても定番の「カスドース」。購入した蔦屋の公式サイトによれば、ポルトガルの家庭で伝統的に食されてきたお菓子で、日本では江戸時代に渡来した。 殿様だけが食べることができる「幻の菓子」と呼ばれ、明治以降には皇室献上銘菓になったという。

カステラを卵黄にくぐらせ、糖蜜で挙げたカスドースは、まぶしいくらい鮮やかな山吹色をしている。口に入れると、外側を覆う砂糖のパリパリ食感と、しっとりしたカステラを一度に味わうことができる。そして甘すぎず、食べやすい。小さいながらに高級感があり、気分はまるで殿様だ。

蔦屋の「牛蒡餅」、左からしろ・くろ・抹茶
蔦屋の「牛蒡餅」、左からしろ・くろ・抹茶

続いて「牛蒡餅」。岡山館長によれば、百菓之図に「山椒羹」というお菓子が載っており、その製法が牛蒡餅とそっくりだという。

蔦屋の公式サイトでは形がゴボウに似ていることが名称の由来だとされている。そう言われてみると短く切ったゴボウに見える...気がする。

筆者が食べたのは蔦屋で販売する「しろ・くろ・抹茶」の3色入り。オーソドックスな「しろ」は素朴な味で、黒糖の「くろ」は甘さが際立つ。「抹茶」を深い茶の風味で、甘さ控えめ。やわらかいが噛み切りやすく、いずれもケシの実の固い食感がわずかに感じられた。

熊屋の「花かすていら」、模様がかわいい
熊屋の「花かすていら」、模様がかわいい

そして、2000年に復元された「花かすていら」。江戸時代後期に藩主・松浦家の命を受け平戸の菓子司が作ったという。その名の通り、花のようなかわいらしいデザインが特徴だ。

こちらは老舗菓子店・熊屋のものを購入。

中にはあんこがぎっしり詰まっている。生地はふわふわで舌の上でとろけるよう。鼻を近づけると、シナモンの香りがふわりと漂う。和と洋が入り交じり、ポルトガル船が来航した平戸の情景を思い起こさせる。

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