見た目は完全に「毒リンゴ」 中国北方で冬に食べられている「謎の果実」の正体は...
突然だが、まずはこちらの写真をご覧いただきたい。
黒っぽい色をした手のひらサイズの球状のもの。上部から飛び出している茎のような突起を見るに、どうやら何かの果物のようだ。
形はリンゴやナシのようだが、それにしては色が黒すぎる。かといって、ブドウやプルーンにしては実が大きすぎるし......いったい何なのだろう?
ツイッター上では、この謎の黒い果物に対し、
「なんだろ、このかっこいい果物」
「星空みたい」
「ど、毒林檎...?」
といった声が寄せられている。
寒い地域ならではの食べ方だった
話題になっているのは、ツイッターユーザーの荘長華さんが、自身が運営する大阪七絃琴館(@windson0707)という中国の伝統楽器「七絃琴」の演奏などを教える教室のアカウントで、2021年1月24日に投稿した写真だ。Jタウンネットは26日、投稿主である荘さんに詳しい話を聞いた。
中国・遼東半島南部の大連市出身で、現在は大阪在住だという荘さん。写真に映っていた黒い果物については、
「『凍梨』というもので、ナシを皮の部分が黒くなるまで凍らせたものです」
と教えてくれた。
「こうすることでナシの糖度が上がって甘くなり、食感もシャーベットのようになって美味しいんです。元々は、秋に収穫したリンゴやナシ、カキなどの果物を凍らせて長持ちさせる保存食でした。大連を含め、冷蔵庫の無い時代でも外に果物を置いておけば凍るほど寒い、中国の北方地域での風習ですね」
と荘さん。ちなみに、写真の凍梨は広島に住んでいる友人から送ってもらったものを、23日に大阪の自宅で撮影したとのことだ。
ツイッターでの反響に対し、荘さんは、
「自分にとってはごく身近なものだったのですが、日本の人はもちろん、中国の他の地方の人から見ても見慣れないものだったようで、文化の差を感じました。これを機に、こういった美味しい食べ方もあるんだということを知ってもらえたら嬉しいです」
とコメントしている。