「うさぎの島」からウサギが消えた? 気になる噂の真相は...
[みみよりライブ5up - 広島ホームテレビ] 2020年12月10日の放送では、新型コロナの影響で「うさぎの島」に異変が起きていることを伝えていました。
たくさんのウサギが生息する人気の観光地、大久野島(広島県竹原市)。以前、島を管理する環境省が調べたところ、ウサギは約1000匹いました。しかし今、そのウサギたちの姿が消えているというのです。
「数えるくらいしかいない」
番組が島に向かうと、フェリー乗り場前の広場は以前は群がるようにウサギがいましたが、現在はまばら。観光客が来てもこれまでのような歓迎はありません。
この光景に観光客は
「前よりは少ないなという印象」
「この辺も前は100匹ぐらいいた。今は見渡す限り数えるくらいしかいない。ここまで少ないとちょっと寂しいですね」
と話します。
2013年頃から「うさぎの島」としてSNSで話題となり、観光客が急増した大久野島。それまで年間10万人台だった観光客は、2017年には過去最高の約41万人になりました。
しかし今年は新型コロナの影響で観光客が激減。大久野島への主な玄関口である忠海港から島に向かったのは約9万5000人で、去年の半分ほどでした。この観光客の減少とともにウサギも姿を消していったというのです。
1000匹ものウサギはどこへ?
環境省広島事務所の山崎貴之自然保護官は「何か食べないと生きていけないので、草や葉が多いところに移動して人目につかないところにいるのでは」と話します。
山の中を探してみると、人目につかない茂みの中で草を食べるウサギを発見。人から貰う餌が少なくなり、ウサギの食生活も変わったようです。
大久野島では自然の状態が望ましいとして餌やりは推奨していないものの、禁止にはしていません。しかし量や種類などの明確なルールがないため、観光客の増加に伴って持ち込まれる餌の量も増え、爆発的に増殖。
2006年には300匹ほどだったウサギが1000匹にまで増加していました。その結果、縄張り争いの激化によってケガをするウサギが増えたり、病気が蔓延しやすくなったりするなど、悪い影響が出ていたのです。
とはいえ、与えられる餌が急に少なくなってしまってウサギ達は大丈夫なのでしょうか。
ウサギは草や葉を食べて十分生きていける
山崎自然保護官は
「見える数は少なくなっているがウサギがたくさん死んでいるというのは聞かない。自然の草や葉を食べて十分生きていける。一つの場所に集中しているよりも散らばって食べ物を探すとケンカする機会も少なくなり、密度が減ると病気も移りにくくなる」
と話します。
しかし、人が与える餌の方が栄養価が高いため、繁殖力が弱まり今後は数が減少していく可能性もあるといいます。
大久野島のフェリーターミナルを運営する久野島産業の松本陵磨社長は
「事業的には厳しいところはあるが以前はウサギが多すぎた。ウサギがメインになっているが、大久野島は瀬戸内海で綺麗な場所。いろんな動物や自然とふれ合うことのできる体験の場として観光を伸ばしていきたい」
と話していました。
人間に依存しないほうがウサギたちにも良さそうですね。
(ライター:momiji)