博物館の展示を眺めていたら...思わず二度見 まさかの「ズゴック土器」が鎮座していた
北海道の西部、日本海に面する余市町は、かつてはニシン漁で栄え、現在では果樹栽培が盛んな土地として知られている。またニッカウヰスキーの蒸溜所があり、NHKの朝ドラ「マッサン」の主要な舞台にもなった。
ここにあるよいち水産博物館で開催されていた特別展「土器、大総選挙」の展示が話題になっている。こちらの投稿をご覧いただこう。
これは、ツイッターユーザーのニコちん(@gouf2355)さんの2020年12月6日のツイートだ。「器の中にズゴックいて草生えた」というコメントが添えられているが、いったいどういう状況なのか。
土器のようなものがいくつも並ぶ展示場に、「ガンダムシリーズ」に登場する、有人操縦式の人型ロボット兵器・モビルスーツ (MS)のひとつ、ズゴックがいるではないか。
このツイートには6万8000件を超える「いいね」が付けられ、いまも拡散している(12月8日夕現在)。ツイッターには、
「圧倒的な存在感」
「これは未来に残すべき土器です! 30××年に『旧時代のズゴック発見』......胸がウズウズします」
「ターンエーガンダムで、掘り出された前世紀のモビルスーツってエピソードあったやん」
といった声が寄せられている。
Jタウンネット記者は、よいち水産博物館に詳しい話を聞いてみた。
なぜズゴックが?博物館に聞くと...
話題の写真を投稿したニコちんさんによると、このズゴックは、よいち水産博物館の特別展「土器、大総選挙」の奥の方で展示されていたという。
「ズゴックは一般の方が焼き上げたものだそうで、他にも縄文土器を模したものなどが多数展示されていました」
ちなみに、「ズゴックは、自分自身かなり好きなMSで、初めて作ったガンプラも、ズゴックだったので、何かの巡り合わせを感じました」とのこと。
次に、よいち水産博物館に電話で聞いてみた。
担当者によると、この土器の展示企画は20年以上前から行っているもので、セミプロ級の作家もいれば、初心者や、小学生まで、さまざまな人が参加しているという。そうした趣旨の展示なので、今回のズゴックのようなユニークな作品も展示されているわけだ。
なぜ土器にこだわっているのだろうか?
「実は、余市町内には多数の縄文遺跡があり、まだ発掘・調査中のものもあり、多くの遺物が発見されています。縄文晩期、亀ヶ岡式土器の影響を受けたと推察されています。
青森県にある縄文遺跡や北海道南部にある共通点を見ると、大きな縄文文化圏の存在が考えられます。それを可能にしたのは、海上交易ルート。縄文時代晩期には現代人の想像以上の交流があったようです。余市はその中継地だったのかもしれません」
冒頭ツイートの投稿者・ニコちんさんに、他の展示物の印象を聞いてみた。
「余市町の発展にまつわるものが多数展示されていて、とても興味深かったです。ニシン漁で栄えたこともあって、漁で実際に使用していたものの数々が展示されていて迫力を感じました。 大きな博物館とは言えないかもしれませんが、学芸員の方の工夫や熱意が伝わりとても満足することができました。 TVドラマ『マッサン』の台本が展示されていたことも印象に残っています」
すっかり興味をそそられた読者には申し訳ないが、よいち水産博物館は現在休館中だ。21年4月上旬、再開の予定だ。
(12月9日9時35分追記:特別展の開催期間に関する表現を一部修正しました。)