二郎系コンビニ麺NO.1はどれ? セブン・ファミマ・ローソン...マニアが選んだ「最強の一杯」は
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第四十四回 コンビニ「二郎インスパイア」レンジ麺 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をレビューする連載の第四十四回目。今回は、コンビニのお弁当コーナーに並んでいるレンジ麺の中でも、特にコンビニ大手3社がしのぎを削る「二郎インスパイア」の商品を紹介します。
コンビニ各社が力を入れるレンジ麺
レンジ麺は最近どんどん種類が増えており、定番の味から名店再現系の商品まで様々なものが並んでいます。中でもインパクト大なのが、ずっしり大盛で、ニンニクやアブラ、ヤサイが大量に入った「二郎インスパイア」の商品。
セブン-イレブンは「中華蕎麦 とみ田」(千葉・松戸)、ローソンは「麺屋一燈」(東京・新小岩)、そしてファミマは「千里眼」(東京・駒場)と、3大コンビニ各社からは名店が監修した二郎インスパイアのレンジ麺が発売されています。
どれも価格設定は600円弱でほぼ同一。まさにコンビニ二郎の三国志状態!
ひとえに二郎インスパイアと言っても三者三様の特徴があるので、今回はこの三品を食べ比べていきたいと思います。
セブン「とみ田」はワシワシ麺がすごい!
セブン-イレブンでは、魚介豚骨の名店「中華蕎麦とみ田」が監修する商品が発売されています。とみ田と言えばセブンプレミアムのカップ麺でも有名ですが、実は二郎インスパイアの「雷」というお店も運営しており、二郎系とは縁深いお店でもあります。
濃厚な豚骨醤油味のスープに大盛の太麺を合わせ、角煮風の厚いチャーシューや、キャベツ、もやしがのってすごいボリューム感です。キャベツともやしは二郎系の特徴ですが、カップ麺はキャベツのみ、レンジ麺はもやし主体の場合が多く、この商品のように両方しっかり入っているのは珍しいです。
チャーシューや野菜の他に、「アブラニンニク玉」が入っていて、こちらも二郎系の特徴である背脂やニンニクがまとめられています。背脂の粒が大きいです。
背脂や豚脂がスープに溶け出すことで、スープ表面に透明な油膜ができ、濃厚な豚骨醤油スープのこってり感を高めています。アブラの重厚さは今回の3品の中でも一番でした。
一方で、ニンニクはそれほど強くなく、二郎系としては物足りない印象。濃い豚骨醤油味やアブラの重厚感に比べると見劣りしていました。
麺は、「ワシワシ麺」と呼ばれる縮れのついた太麺。レンジ麺の場合、調理済の麺をレンジで再び温めるという工程上、どうしても伸びたような食感になってしまう場合が多いですが、この麺はがっしりした二郎系らしいワシワシ食感をきちんと保てています。
また、麺量200グラムはレンジ麺としては大盛で、食感も量も食べ応え十分でした。この麺はすごいです。
ローソン「麺屋一燈」は汁なし風で上品な味わい
ローソンからは、鶏白湯魚介の名店が監修した「麺屋一燈監修 濃厚豚醤油ラーメン」が発売されています。麺屋一燈と言えば泣く子も黙る名店ですが、それとは別に、「ラーメン燈郎」という二郎インスパイア店を運営しています。
セブンの「とみ田」やファミマの「千里眼」に比べると底の浅い容器で、麺や具が少ないわけではなくスープの量が少なめ。ラーメンと汁なし麺の中間のようなスープの量となっています。
ややとろみがあって濃縮感のある豚骨醤油スープですが、セブンやファミマに比べて特別濃厚な味というわけではありません。スープが少ない分、他より多少カロリーが抑えられているというメリットがありました。
二郎系の特徴である背脂やニンニクもしっかり入っていますが、どちらも効きは控えめで、二郎で思い浮かべるガツンとくる迫力はありません。
二郎系としては上品な味とも言え、二郎を食べたいけどニンニクやアブラが強すぎるのは嫌だという人に最適ではないでしょうか。
麺量は明示されていませんが、おそらくセブン「とみ田」と同じくらい入っていてボリュームがあります。セブンに比べるとやや幅広気味の形状で、こちらも二郎系の特徴であるワシワシ麺の豪快な食感をよく再現できていました。
もやしはたくさん入っているものの、キャベツが少量。角煮チャーシューとともに煮玉子が入っています。煮玉子はセブンとファミマには入っていないので、二郎系レンジ麺で煮玉子が欲しいならローソン一択です。
ファミマ「千里眼」は圧倒的なボリュームと辛い揚玉が魅力
ファミマからは、二郎インスパイア店監修「千里眼監修 濃厚マシマシラーメン(ニンニク醤油)」が発売されています。セブンの「とみ田」やローソンの「麺屋一燈」とは違い、千里眼は二郎インスパイアを本職としています。最も有名な二郎インスパイア店のひとつではないでしょうか。
セブンとローソンもレンジ麺としては十分重量級なのに、容器の重さが他の2つに比べて圧倒的に重くてずっしりしています。おそらく全コンビニレンジ麺の中でも最もヘビー級なのではないかと思います。
スープは二郎系共通の豚骨醤油味ですが、醤油のキレが強く、味の濃さは3品の中でも一番。ちょっと塩辛いとすら感じるレベルです。カップ麺含め、ここまで醤油の強い二郎系スープはあまり見かけたことがありません。
背脂の粒がたくさん入っている上、豚脂の油膜もできており、濃い醤油味に負けないアブラの強さ。かなりこってりしています。
ニンニクもたくさん入っていて、ちょっと辛いくらいのキレがあります。醤油の濃さとアブラの量含め、今回の3品の中で最もパワフルで二郎系らしいスープだと感じました。
そしてこの商品の最大の特徴は、300グラムという他の追随を許さない麺量。普通のレンジ麺なら2人前くらいの量です。私は人並みより大食いの自覚がありますが、そんな私でもこの量は多いと感じてしまうくらいです。
コンビニごはんでこの食べ応えは他に記憶がありません。他2つのワシワシ麺ほどの豪快な食感ではありませんが、量の多さは正義です。
具は、チャーシューやもやし、ネギが入っていて、キャベツは少なめ。チャーシューは他よりちょっと小さかったです。そして、お店の名物にもなっている「辛揚げ」を再現した赤い揚げ玉が入っています。これが結構辛くて、濃いスープと合わせても強力なアクセントになっていました。
三者三様のコンビニ二郎インスパイア
ワシワシ麺の食感と、スープ、麺、具それぞれのレベルが高いセブンの「とみ田」、汁なし麺風で二郎系としては上品な味わいのローソン「麺屋一燈」、そして圧倒的麺量と濃い味に加え、辛い揚げ玉が特徴のファミマ「千里眼」。
三者それぞれに異なる魅力があり、どれも文句なくおすすめできますが、1つ選ぶとすれば、圧倒的ボリュームのファミマ「千里眼」をおすすめしたいです。