渋谷に「巨大なコンクリート塊」が出現→公衆トイレでした 斬新なデザインの理由は?区役所に聞いた
突然だが、こちらの写真を見ていただきたい。みなさんは、これが何の建物かわかるだろうか。

東京・国立競技場駅(都営地下鉄)の地上出口の横にドンとそびえるコンクリートの塊。かなり頑丈そうだし...よく見るとちょっと浮いているように見える。なんだが不思議な建物だ。
この建物の正体は、JR千駄ヶ谷駅(渋谷区)近くにある「千駄ヶ谷駅前公衆便所」。2020年8月7日に工事が完了し、20日に開所式が行われた。
ツイッターでは9月初旬頃から話題となり、
「スゲー斬新なデザイン」
「支え方がよくわかんない感じに重いものが置かれてると、不思議な浮遊感」
「このトイレで便所飯したらカフェ気分やん」
といった声が寄せられている。
高さは7.5メートル
Jタウンネット記者は10月20日、現場に向かった。
JR千駄ヶ谷駅を出ると、左手に交番が見える。その後方に建っているシンプルなコンクリートの建物が、公衆トイレだ。

渋谷区土木部公園課の担当者に聞いたところ、高さはなんと7.5メートル。外壁は地面から50センチほど浮いた造りになっている。

トイレの入り口は国立競技場駅出口との間。中に入ると男女共用の手洗い場と大きな鏡が登場する。
入って左手が多目的トイレと女性用トイレ、右手が男性用トイレだ。個室の壁は木目調で、冷たいコンクリートの外壁とはうってかわって温かい印象を受ける。


個室内は至って普通だが、清潔感がある。そして天井を見上げると...

...高い。天窓から光が差し込み、通路が狭いにもかかわらず開放感がある。
また、将棋会館があることで知られる千駄ヶ谷。個室前を通って奥に進むと、将棋にちなんだ写真が展示されている。

その中には2017年6月に藤井聡太二冠(当時四段)が史上最多の29連勝を収めた時の写真も。トイレの役割を果たしているだけでなく、日本の文化を楽しむこともできるのだ。
外壁が浮いている理由は?
このトイレを手掛けた建築家は、建築設計事務所「SUPPOSE DESIGN OFFICE(サポーズデザインオフィス)」(本社・広島市)で共同代表を務める谷尻誠さんと吉田愛さん。2人は公募で選出されたという。
公園課の担当者は「千駄ヶ谷駅公衆便所」を新しくした理由について、
「既存のトイレは昭和54年に建設され、老朽化対策や洋式化も未整備でした。また東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催時には、多くの人が利用することが予想されました。大会開催前に本トイレをより多様な需要を満たし、秀逸なデザインとなるように整備するため、公募をしました」
と説明する。
ちなみに以前の「千駄ヶ谷駅公衆便所」がこちら。現在と場所は同じだが、見た目が大きく異なっている。

建物の大きな特徴の一つである「浮いた外壁」は、デザイナーの提案。足元が見えることで中に人がいるかが分かり、安心して利用できるという。
担当者に、このようなデザインにした理由を聞くと、
「デザイナー提案で、千駄ヶ谷の街にとってシンボルになり得るアイコニックな建築としました。浮いたコンクリートのアートピースのようになることで、千駄ヶ谷エリアが活気づき、それが渋谷区、東京都に波及するようなトイレとしています」
とのこと。このトイレが千駄ヶ谷の象徴となる日も、遠くないかもしれない。