「テトラポッド内は海流が複雑で危険」の噂は本当か? メーカーに聞いてみると「なるべく近づかないで」
「テトラポッドの隙間は海流が複雑になっていて、一度落ちたらもう二度と海上には戻れない」
ツイッター上でこのような「テトラポッドの危険性」に関する情報が拡散され、話題となっている。
テトラポッドとは、海岸等にある消波ブロックの一種。不動テトラという会社が作っている、四本脚のものだ。
海岸ではその上で釣りをする人を見かけることも多い。ツイッターでも
「家族で海行った時兄とか父がテトラポッドの上に登ってカニ探ししてた」
「今まで普通にテトラの上で釣りしとったわ」
「テトラポッドでフナムシ採りではしゃいでる」
「港町で育った男子なら、まずテトラポッドの上で遊んだ事あると思う」
といったようなコメントが見受けられる。
しかし一方で
「カサゴとかイセエビとかいるけど、足を滑らせて落ちたら最後、絶対に抜け出せない身近な地獄の入り口だと思う・・!」
「怖いのでテトラのあるところに行く場合はライフジャケットを着ていきます」
といったコメントも。
果たして、四本脚の消波ブロックの間は本当に海流が複雑になっていて危険なのか。Jタウンネットは噂の真偽を調査した。
消波ブロックの構造は...
2020年8月20日、Jタウンネットが海上保安庁広報部に問い合わせたところ、2019年に消波ブロックから海中へ転落した事故は18件(18人)。その内、10人が生存、死者・行方不明者は8人とのことだった。
死者・行方不明者が出ている以上は危険性があることは事実と言えるだろう。
ではいったい、消波ブロックの周辺はどのような状態になっているのだろうか。
Jタウンネットは21日、テトラポッドを取り扱う不動テトラを取材し、話を聞いた。
担当者は
「まずテトラポッドは弊社が商標登録している消波ブロックの一種です。消波ブロックの形は多種多様にありますが、その基本的構造はだいたい同じです」
とした上で、
「消波ブロックは、その名前の通り、波のエネルギーを弱くするために置かれている構造物です。単体ではなく、複数個積み重ねて使用するものですが、その複雑な構造から、それぞれブロックの間には隙間ができます。大きな波が消波ブロックに当たった際、その隙間が波のエネルギーを分散、吸収しています」
と、消波ブロック全般の構造の仕組みについて説明する。
またその結果として、
「消波ブロック内で海流が複雑になる可能性はあります」
とも。
それを踏まえ、担当者は、
「消波ブロックは本来、大きな波が来る可能性がある場所に設置されているものですので、大きな波が来ることや、ブロック同士の隙間に足を挟んでしまう、足を滑らせてしまうという危険性が十分にあります。また、あくまで、波を消すために設置されている構造物ですので、管理している地元の自治体等の注意や指示に従い、なるべく近づかないでいただければと思います」
と注意をうながした。