木に「オレオ」が刺さってる...? 富山の山中で発見された謎の物体、その正体を専門家に聞いた
サルノコシカケの一種?
Jタウンネットは31日、ももりんさんに詳しい話を聞いた。
ももりんさんは妻と山を散策中、この物体を見つけた。最初に発見したのは妻で、驚いた様子でももりんさんを呼んだという。その時の心境を聞くと、
「『え、なんでここにオレオ!?』でした。その後よく観察したらキノコの一種だとわかったのですが、その精巧な擬態?っぷりに驚きと感動と笑いが同時に起こりました」
とのこと。ももりんさんが他のユーザーに送ったリプライによれば、色や形だけでなく、大きさもオレオと同じくらい。ももりんさんはキノコについて図鑑で調べ、木に刺さっていたのは漢方薬などに使われるサルノコシカケの一種ではないかと推測していた。
投稿に対するリプライでも、「サルノコシカケではないか」という声が複数あがっているが、詳しいところはわからない。
Jタウンネットはこの物体の正体を突き止めるべく、一般財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所(鳥取市)の名誉研究員・長澤栄史さんに、写真を見てもらった。
「やや古くなった状態のコフキサルノコシカケだと思います。これは多年生のキノコなので年々成長します。(写真のキノコは)何年か成長したのちに成長が止まり、肉質が非常に硬いので腐らず黒化したものじゃないかと思います」
予想されていた通り、サルノコシカケの一種だと話す長澤さん。割ってみないと分からないが、「中も黒く変色しているのではないか」と推測する。写真のものは真っ黒だが、成長中の若いコフキサルノコシカケは茶色だといい、編集部で調べてみると、確かに写真のものとは別物のような姿をしていた。
またクリームのように白く見える部分は、おそらく別の種類の菌であるとのこと。長澤さんは「雨風にさらされたために付着したカビなどではないでしょうか」としている。
長澤さんによれば、コフキサルノコシカケが発生するのはブナやケヤキなどの広葉樹。生命活動がほとんど行われていない「心材」(材の中心に近い部分)に菌糸体を伸ばして発生することが多いため、心材が発達した、ある程度成長した木に発生する。成長する年数は木の大きさによって変わるが、「最低でも5~6年は生きるのではないか」とのこと。成長が止まった理由は、成長のもととなる木の栄養分がなくなったことなどが考えられる。
黒くなってしまったコフキサルノコシカケは、この後どうなるのか。長澤さんは、
「そういう状態になると崩壊するのが早いです。雨風にさらされるとカビなどがキノコを分解していきますから。非常に壊れやすくなるので、成長を止めた段階で何年も残っているのは難しいです」
としている。ただ、採取して家に持ち帰り、乾燥した状態で置いておけば、長く保管することは可能だそうだ。