他の人に突き刺さったら密! ある博物館が導入した「ソーシャルディスタンスの槍」が斬新すぎる
槍を片手に館内を歩いてもO K
副島さんによると、「ソーシャルディスタンスの槍」は副島さん自身が作り、井戸尻考古館が再開した2日から、展示室の前に設置している。現在は3本だが、ツイッターで反響があったためこれから増やそうと思っているという。
来館者同士の距離を確保するために、なぜ槍を使おうと思ったのか。副島さんは次のように説明する。
「まず、館の再開にあたって、来館者の方には受付表を書いていただいたり検温していただいたり、県の方針で18日までは1都3県と北海道の方はご遠慮いただいたり、皆さんにプレッシャーを与えることが多いんですね。
初めは、館内にテープを2メートルごとに貼って...というのもやろうかと考えていたんですが、身構えて中に入ってもらうことになるので、(展示を)見ている中ではあまりプレッシャーを与えたくない、というのがあって、何かないかを考えました」
また、同館では多数の土器がかなり密接して展示されている。そのため、2メートルごとにテープを貼って立ち止まる位置を指定してしまうと、来館者がみたい展示物をじっくり観察することができなくなる可能性もあるという。
「それで、移動しながら距離を取れるようなものがないかな、と考えたときに槍を思いつきました。
槍が使われていたのは旧石器時代がメインになるんですけれども、縄文時代の最初の頃にまだその名残があって槍が使われるので、館としてはその縄文時代の初めの頃の形を意識しています」(副島さん)
槍の先についている黒曜石を削ったのも副島さんだ。石器に関する研究で、縄文時代の人々が黒曜石を削流時には鹿の角で叩いていたことがわかっているそう。そこで副島さんも鹿の角を使って黒曜石を削ったという。
半日ほどで5、6個の黒曜石を削り、そこから竹の先につけるのに都合の良いものを選んで槍にしたとのことだ。ちなみに。黒曜石の先は人に当たっても怪我しないように潰してあるという。
槍は展示室に入る前に槍を観察して「これくらいの距離を開ければ良いのか」と目安にするだけでも良いし、槍を手に取って展示品を見て回っても構わないそうだ。 石器を片手に縄文時代の土器を見る、というのはかなりレアな体験に違いない。