新型コロナを40年前に予言? 話題の和製パニック映画「復活の日」を見てみました
「マスクしろ! 緒形拳」
まず、主役の南極越冬隊員・吉住を演じるのは、草刈正雄だ。大河ドラマ「真田丸」のふてぶてしいクセモノ・真田昌幸や、テレビ小説「なつぞら」の温厚な牧場主の、草刈ではない。40年前の草刈正雄は、本当にさわやかでイケメンだったのだ(今の草刈さんもかっこいいですが...)。
主人公の恋人役・多岐川裕美は看護士として、ウイルス感染の患者が殺到する病院に勤めている。そこで懸命に働く医師を、故・緒形拳さんが熱演しているのだが、そこがまず突っ込みどころだ。
緒形さんはマスクも手袋もしていないのだ。
「マスクしろ! 緒形拳」
「防護服はどうした?」
と声をかけずにはいられなくなる。
40年前には、防護服はもちろん、マスク、手袋をするという感染防止の基本も、配慮されていなかったのだろうか。それとも、やはり品薄のため、マスクが手に入らなかったという設定だったのだろうか。
診察途中で倒れた緒形さんは、控室に連れて行かれるのだが、そこには数多くの医師が倒れていて、まさに医療崩壊の様子が描かれていた。
南極越冬隊員の中には、千葉真一もいる。現在は、息子の新田真剣佑や眞栄田郷敦の方が人気があるのかもしれない。40年前の真一パパもけっこう渋い中年だ。千葉真一って、いったいいくつなのだろう、と驚くばかりだ。
もっと驚くのは、外国人のキャストの豪華な顔ぶれだ。
アメリカ大統領役にグレン・フォード、上院議員にロバート・ボーンだ。南極アメリカ隊の提督をジョージ・ケネディ、少佐をボー・スベンソンが演じている。南極ノルウェイ隊の女性隊員は、オリビア・ハッセーだ。
英語だけのシーンが延々と続き、まるでハリウッド映画か、と思わせるほどだ。いったい出演料だけでいくらかかったのだろう、と余計な心配をしたくなる。
ちなみに、主題歌はジャニス・イアンの「ユー・アー・ラブ(Toujours gai mon cher)」だ。
監督は深作欣二、撮影は木村大作、そして製作は角川春樹だ。スタッフの方も思い切り豪華だ。南極ロケも敢行したという。角川映画の超大作で、製作費もふんだんにかけたようだ。
1980年ころの日本は、バブルで、景気良かったのだな、と突っ込みたくなる。
「復活の日」が気になる方は、やはり実際に観ていただくのがいちばんだろう。