「70代を高齢者と言わない街」東名高速の謎標語 どういう意味?設置の自治体に聞いた
「70代を高齢者と言わない街 大和市」
これは東名高速の道路橋に掲示された横断幕。大和市(神奈川県)が設置しているもので、その衝撃的な内容がツイッターで話題になっている。
ツイッターでは「何歳から高齢者とみなすのか」というツッコミや、高速道路という場所から高齢者の運転と結び付けたコメントが寄せられている。
この強気な一文にはどんな意味が込められているのだろうか。Jタウンネットは2020年1月7日、大和市の政策総務課に話を聞いた。
「多くの人に知ってもらわないと意味がない」
大和市は2018年4月、「70歳代を高齢者と言わない都市 やまと」宣言をしている。担当者はその意図について、
「人生100年時代と言われている中で、一般的には65歳以上が高齢者とされています。だんだん高齢の方が増えていく中で、街に活力や元気をつけていくためには、高齢者の定義を変えてかなきゃいけないということで宣言しました」
としている。
もともと大和市は14年6月に「60歳代を高齢者と言わない都市 やまと」を宣言していたが、17年1月に日本老年学会・日本老年医学会が高齢者の定義を75歳以上としたこともあって年齢を繰り上げた。同学会の基準では65~74歳が准高齢者、90歳以上が超高齢者となっている。
横断幕を東名高速に掲げたのは19年7月から。その理由を聞いてみると、
「変えていくためには『70代を高齢者と言わない』と言っていることを多くの人に知ってもらわないと意味がないです。なので東名高速にも横断幕を掲出して、往来している多くの方に見ていただいて、宣言の効果を高めています」
とのこと。このほか、今は一時的に撤去されているが、大和スポーツセンターにもこの宣言が掲げられていたという。
また、担当者はツイッターであがっていた「何歳から高齢者なのか」という疑問には、
「(70代を高齢者と言わないとしているが)80歳から高齢者とは明確には言ってはいないです。言ってないというのが答えかもしれません」
と回答。何歳から高齢者かという明確なラインは設けてないということだろう。
Jタウンネットは18年4月にも大和市を取材している。
当時の記事によれば、この宣言はあくまで広報や刊行物などで70代を「高齢者」と認識や表現しないとするもの。法的条例ではなく、年金の支払いなどにも影響はしないという。また、マスコミや一般市民に対し「(70代を)高齢者と呼ばないで」と呼びかけるものでもないそうだ。