見るだけじゃない、紅葉は舌でも楽しめる 大阪銘菓「もみじの天ぷら」食べてみた
クセになる味
筆者が初めてもみじの天ぷらに出会ったのは、数年前に箕面を訪れた時だ。阪急電車の箕面駅を降り、少し温泉街へ歩を進めると店頭で何かを揚げている店がみえる。
それがもみじの天ぷらを販売している店であった。あまりに予想外だったため、その場では買えなかった。
それから東京に戻り、もみじの天ぷらとも全く遭遇しない日々が続いていた。とはいえ中々、記憶から消えないもみじの天ぷらの存在にいつかは食べてみたいと思い続けた。
そして2019年5月10日、ある取材の帰りに立ち寄った大阪のアンテナショップにそれはあった。
久しぶりに見かけるもみじの天ぷら。揚げたてしかないと思い込んでいたため、袋入りの状態が新鮮だった。
今回購入したのは久國紅仙堂(ひさくにこうせんどう)が製造しているもの。公式サイトによると、軸が柔らかい食用のもみじを栽培。水洗いして1年以上、樽で塩漬けする。それを塩抜きし、揚げたものが今回購入した商品だ。
そもそも「食用のもみじ」があるのが驚き。1年以上のしたごしらえを経て手元にある――あまりの本気ぶりに、ちょっとビビってしまった。
天ぷらでなおかつ袋の中に閉じ込めっぱなしであるが、脂っこい印象は受けない。1口食べてみると、もみじの葉の食感や味は感じない。
もしあったとすれば未知のものである。それだけに抵抗があるはずだが、すんなり食べられた。
味や風味はかりんとうに近く、おやつにしては少しヘビーな気がする。しかし、クセになってしまう味でついつい食べ過ぎてしまいそうだ。
編集部の面々にも食べてもらったが、みな「美味しい」と口をそろえた。
袋詰めのこちらでも十二分に美味しいのだが、やはり数年前のときに揚げたてを食べなかった後悔が強くなる。
紅葉を見ながら、もみじの天ぷらを食べる粋な楽しみ方をいつか現地でしてみたいもの。ただ、目が回るほど忙しいJタウンネットでは箕面に行ける余裕がないのが残念。筆者の老後までこうした文化が続いてくれることを願うばかりだ。