山形県民はなぜ(1)を「いちかっこ」と読むのか 専門家に見解を聞いた
2019.09.10 06:00
ルーツは大正時代に?
加藤氏は山形について多様な切り口で学習・研究を進める「山形学」の企画委員も務め、山形の方言についても造詣が深い。「いちまる」「いちかっこ」などの読み方が広まった経緯について話を聞くと、
「学校教育が始まった段階で山形師範学校を卒業して県内の小学校の先生になった人がこの呼び方を広めていったという説が一般的に言われていると思います」
と説明。さらに、「いちかっこ」との読み方のルーツに大正時代のノートに見られた「一)」との記載が関係しているのではないかと指摘する。
「古い教科書を見ていくと、丸数字は第二次大戦を境に増えるようで、戦前はかっこで記されることが多いようです。東北文教大学所蔵に寄贈された大正時代の算数のノートには『一)』との記載が見られました。これは仮説なんですけど、『一)』との記載から『いちかっこ』との呼び方が県内の小学校の先生を中心にして広まったのではないでしょうか。それが①(いちまる)などにも波及したのではないかと思います」(加藤氏)
当時、「一)」との記載が山形だけに限らず全国にあったことは考えられるとしつつも、県内の小学校の先生を中心にして山形ではこの読み方が波及したと推測する。
山形独自の読み方は、実はけっこう長い歴史があるようだ。