「醤油にしか見えないオレンジジュース」が話題 なぜ作ってしまったのか、チェリオに聞いた
一見、醤油のペットボトルに見える。どう見ても、醤油だ。小皿に垂らして、わさびを添えて、お刺身なんか、いただきたいですなぁ、と思っても不思議ではない。だが、このボトルをわしづかみにして、がぶ飲みを始める人がいるとしたら......。
「おーい、何やってる、大丈夫か?」と叫んで、当然だろう。
この醤油のペットボトル、実は果汁3パーセントのオレンジジュースだ。京都府南区に本社を置く清涼飲料メーカー・チェリオが販売する「なんちゃってオレンジ」という飲料なのだ。このユニークなジュースがいまツイッターで話題となっている。
「車に置いておくのもお勧めです 車中で醤油飲んでるヤバイ奴になれますよ」
「昭和のころに 戦争に行きたくないひとが 一気飲みしたという 醤油伝説をおもいだしたぞ」
「沖縄だとそこら中に売ってましたよ 徴兵逃れとか言って飲んでました」
醤油を飲んで徴兵逃れができたのか、真偽はともかく、「なんちゃってオレンジ」をがぶ飲みしていると、ヤバイ奴に見られるのは間違いなさそうだ。
しかし、いったいなぜこんな商品が生まれたのか? 知りたくないだろうか。Jタウンネット編集部は、チェリオに詳しい話を聞いてみた。
「笑いがいるでしょ」
答えてくれたのは、株式会社チェリオコーポレーションの担当者だった。
「もともと10年ほど前に、見た目が醤油の『なんちゃってコーラ』『なんちゃってオレンジ』や、見た目が牛乳の『なんちゃってオレンジダソーダ』、見た目がマヨネーズの『なんちゃってクリームソーダ』など、『なんちゃって』シリーズを発売していました。近年は製造していませんでしたが、経営者の『笑いがいるでしょ』という一言から自社自販機で復刻することが決まりました」
復刻というよりは、ペットボトルの容器のデザインや中身の味も一新、リニューアルしての発売ということだ。「過去のなんちゃってシリーズの中でも最もよくできたデザインになりました」と担当者。
それにしても「笑いがいるでしょ」という経営者の発言は、素晴らしい。いかにも関西の経営者らしい発想だ。
「なんちゃってオレンジ」の市場調査にはどれくらい時間をかけたのですか? という質問には、こんな回答が返ってきた。
「実はこれといった調査をせずに発売に踏み切りました。売れるかどうかではなく、『自動販売機の前でお客さまも思わず笑ってくれたらいいな』という思いで作られた商品です」
売れるかどうかより、お客さまに笑っていただくのが目的だという。
お客様の反応は? と聞くと......
「多くのお客様にお手に取って頂いており嬉しく思っています。お客様の声も弊社に届いており、SNSでもポジティブな意見が多く見られます。中にはどっきりで家族や友達にプレゼントしている投稿も見かけ、この商品を通して楽しいと感じている方がいて嬉しいです」
「なんちゃってオレンジ」が購入できる場所は、全国のチェリオ自動販売機(中部・関西・沖縄エリア)だ。関東では、一部自動販売機、中国エリアのローソン、中国・四国のダイソーなどでも販売されているとのこと。「自社自動販売機以外は卸した実績はございますが、販売状況はわかりかねます」と付け加えた。
まず、チェリオ自動販売機を探すのが一番だ。「なんちゃってオレンジ」をゲットしたら、一気にがぶ飲みして、周囲の反応を見ながら、思い切り笑ってみたいものだ。「暑すぎて、おかしくなったのか?」と、見ないふりをして冷たく立ち去られるかもしれないが......。