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青色に輝く「蝶のステンドグラス」 日本最古の昆虫博物館に、美しすぎる標本展示があった

笹木 萌

笹木 萌

2019.06.27 06:00
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2019年も半分が終わりかけ、もうすぐ7月。子どもたちには待ちに待った夏休みが近づいてきたわけだが、残念ながら多くの大人には無縁の話だ。

一面のモルフォ蝶。美しい...(画像は名和昆虫博物館提供)
一面のモルフォ蝶。美しい...(画像は名和昆虫博物館提供)

そんな時、童心に戻って訪れてみたいのが「名和昆虫博物館」(岐阜県岐阜市)だ。カブトムシやクワガタ、チョウを中心とした展示を行っているが、ツイッターやインスタグラムでは鮮やかな青い羽をもつモルフォ蝶を一面に敷き詰めた展示が話題になっている。

有名なのはモルフォ蝶だけではない。名和昆虫博物館は日本に現存する昆虫博物館としては最も長い歴史を持ち、今年で開館から100年目を迎える。

一体どんな博物館なのか、Jタウンネットは館長の名和哲夫さん(64)を取材した。

クイズで標本がもらえる

名和館長によれば、この博物館のコンセプトは「身近な昆虫から世界の昆虫まで」。1000種3500頭の昆虫を展示しているが、クイズや「隠れ展示シリーズ」など、来訪者が楽しめるような参加型の展示をしているとのことだ。さらに、

「昆虫自身が持っている魅力を感じてほしい。思い出を持ち帰ってほしいです」

という考えから、写真撮影も昔からOKしているという。

2階の様子。クイズコーナーになっている(画像は名和昆虫博物館提供)
2階の様子。クイズコーナーになっている(画像は名和昆虫博物館提供)

2階は13問のクイズが設置してあり、参加者には抽選で30人(年ごとに集計)に景品が送られるという。景品の対象は全問正解者だけでないということが驚きだ。そのわけを聞くと、

「クイズは知識を求めるものではなく、一生懸命解こう思って、標本をしっかりと見てもらうための動機づけのクイズです」

とのこと。景品をあげる人は年間約7000人の参加者から選ぶため倍率は高いが、標本や下敷きなど豪華景品がもらえる。

話題のモルフォ蝶は2004年に同館研究員の松尾登貴雄さんが作成した。縦176センチ、横280センチの枠の中で、約480頭のモルフォ蝶が輝きを放っている。角度によって見え方が違うのも魅力の一つだ。

創設者はギフチョウを発見した名和靖

1階の様子(画像は名和昆虫博物館提供)
1階の様子(画像は名和昆虫博物館提供)

歴史ある博物館ならではのエピソードもある。

博物館の創設者・名和靖はギフチョウの発見で知られる。展示の9割は海外の昆虫だというが、博物館のシンボルでもあるギフチョウは1階にコーナーを設けてある。

元々は名和昆虫研究所の付属施設として建てられ、害虫などを展示していた。名和靖のシロアリ研究の一環として、シロアリ被害の古材保存を兼ねて1919年に竣工。近代日本を代表する建築家・武田五一が設計し、岐阜県第一号の登録有形文化財(文化庁)に登録されている。1945年ごろから、現在のような一般的な展示にシフトしていったという。

大正8年に開館(画像は名和昆虫博物館提供)
大正8年に開館(画像は名和昆虫博物館提供)

建築物としても見どころがある名和昆虫博物館。「ムシキング」がブームになった2003~05頃は年間約5万人が訪れたというが、最近は2万3000~4000人が訪れ、リピーターも多いという。中には「60年前に来たよ」と声をかけてくれる来訪者もいるようだ。

100年目を迎えて何か特別なことをするのか聞いてみたが、「細く長く」続けていくことを考えて特に何も考えていないとのことで、現在は色あせた展示の入れ替えなどに専念しているという。

「ものすごい珍しいものはそんなに展示してませんが、魅力を持っているものは展示しているつもりです。珍しくなくても、美しいものなら見てほしい」

名和館長は博物館の魅力をこう話している。

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