周囲は「古墳」だらけ! 立地が特殊すぎる自衛隊基地、一体なぜこの場所に?
関西唯一の航空自衛隊の基地である「奈良基地」。いまインターネット上では、その立地がちょっとした話題になっている。
地図を確認してみると、基地周りに3つも古墳がある。あまりに特異な立地のため、「奈良基地は古墳の付帯施設だと思われてる可能性」といった投稿が出るほど、反響を呼んでいるのだ。
古墳が目立ち過ぎている
奈良基地があるのは奈良市内北部の法華寺町。平城京から車で10分もあればついてしまう場所だ。
元々は1942年に当時の厚生省が開設した国民勤労訓練所があった。日本職業協会の公式サイトにある職業安定行政史によると
「職業転換に必要な精神的、肉体的訓練が実施された」
といい、毎月1000人が訓練を行っていた。
その後終戦を迎え、奈良の米軍キャンプE地区として接収。1956年9月17日、接収解除で幹部候補生学校が山口・防府から移駐し、現在の奈良基地に変わった。
大元の施設である西部国民勤労訓練所がなぜこの場所になったのか。開設前年の1941年に訓練所のための用地買収が各地で行われていたそうだ。
基地周辺にあるのはウワナベ古墳、コナベ古墳、ヒシャゲ古墳の3基だ。
佐紀盾列(さきたてなみ)古墳群の東部にこの3基があり、いずれも実際に葬られている人はわからないが、ウワナベ古墳とコナベ古墳は宮内庁によって陵墓参考地。ヒシャゲ古墳は磐之媛命(いわのひめのみこと)平城坂上陵に治定されている。
この古墳群は大阪の百舌鳥・古市古墳群に並ぶ規模で、ヤマト王権の大王墓などとも噂されるほど貴重な場所。逆に考えると、そこに国民勤労訓練所を建てなければならないほどの情勢だったのかもしれない。
ツイッター上では、
「そもそも奈良市民ですら知らないw」
「近辺には何回も行ってるけど、冷静に考えたら凄い立地だな」
「古墳が割れて中からカタパルトがせり出してきそう(サンダーバード感)」
といった反応が寄せられている。
古墳に囲まれた基地――古都・奈良らしい風景だが、知名度がそこまで高くなかったのがなんとも不思議だ。