埼玉の神社に、狛犬ならぬ「狛鯉」がいた いったいなぜ?現地で由来を調べてきた
鯉が神様を運んだという
栗橋の八坂神社があるのは、埼玉県と茨城県の県境のすぐ近くだ。
利根川の堤防の下にあるが、国道から少しそれているため人気が少ない。筆者が訪れた2019年4月現在、堤防工事が行われている。境内の案内によると12月以降に移転の予定があるという。
入り口からはまだ鯉の姿が見えない。さらに中に進むと見聞きしていたと違う風景があった。
鯉がいるはずと思っていたが、ちゃんと狛犬がいる。もしかして期間限定の特別仕様だったのか。しかし、神社でそんな浮ついたことをやるはずがない。もう少し本殿に近づくと目的の鯉が現れた。
本殿の正面、この位置にも狛犬がいるところだが、代わりにいるのは鯉。しかもそれぞれ名前が違っている。
まず左側にいるのが「除災の鯉」と呼ばれるもの。この鯉の頭を撫でて、身体をさすると災いを祓ってくれるのだとか。
右側にあるのが「招福の鯉」。こちらの頭を撫でて身体をさすると福を招いてくれるそうだ。
そして左右の鯉で除災招福となり、災いを除き、福を招く利益につながる。非常にありがたい存在だが、なぜ鯉なのか。
これについては鯉の真下にある説明が詳しい。それによると、坂東太郎とも呼ばれる暴れ川である利根川の洪水の中、鯉と亀が神様を運んできたという。
亀については左右の鯉の下に隠れていた。波にもまれて大変そうだが――。
筆者が訪れたときに境内に誰もいなかったようだが、おみくじも販売されているようで、こちらも鯉がデザインされている。
最後に本殿に参拝。筆者は阪神ファンであるが、開幕から中々エンジンのかからないカープの健闘を願って帰路についた。
水とかかわりが強いこの場所ならではの鯉に出会う。いつもと違う気分で仕事に向き合うことができた。