「ドヤ街」から観光客が集まる街へ 西成の景色を変えた、簡易宿泊所の「奮闘」
多様な宿泊プランも用意
ジュノングループでは、お客様に喜んでいただけそうな企画やプランを常に考え実行していくことを意識していると、広報担当者は話していました。
日雇い労働者が長期滞在していた時代は、その人たちがより生活しやすい設備や対応に注力していましたが、新たに観光客やビジネスのお客様に支持されるようになり、これらのお客様に満足して頂けるような新しい設備やデザイン、サービスを追求することが必要だと考えたからだそうです。
各ホテルでは季節に合わせたおもてなしを提供しています。例えば、冬であればカイロをプレゼントしたり、夏はかき氷のサービスがあったり、ハロウィンの時期はお菓子つかみどりの企画を行ったり――などです。このような季節感のあるちょっとした気遣い、宿泊者側にとってほっこり嬉しい気持ちになります。
宿泊プランもさまざまで、例えば裏に線路がある施設では、鉄道が至近距離で観れるという立地を生かして、鉄道ファン向けに「トレインビュープラン」を提供したことがありました。これがなかなか好評だったそうです。
人型ロボット「Pepper」がお出迎えしてくれる施設も。ロビーにちょこんといるだけで旅の疲れが癒され和んでしまいそう。

なぜ、このように次々と「ドヤ」がこのようにホテル化しているのでしょうか。
今まではホテル(簡易宿泊所)のライバルは、あいりん地区内のホテルでした。2022年に完成予定の星野リゾートを始め、これからあいりん地区のホテルはより良い施設に変わって行くことが予想されます。
逆に今のタイミングでニーズに合わせて業務転換出来ない宿泊施設は、今後の生存競争で生き残るのが厳しいといえるかもしれません。
3月末であいりん労働福祉センターの今の施設が閉鎖、西成の開発が新たに進む中、観光地として発展を遂げるこの街を支える企業の創意工夫から今後も目が離せません。
