セイコーマート、もはや北海道の「インフラ」だ 過疎地域にも出店、その背景にあった「ドラマ」とは
「このままでは村民が買い物難民となってしまう」
初山別村にセイコーマートが誕生するにあたっては、実はちょっとしたドラマがあった。
村に1軒しかなかった個人商店が閉店してしまい、買い物するには約20キロ離れた隣町まで行かなければならなくなった。「このままでは村民が買い物難民となってしまう」と、村長自らセコマ本社を訪れ、出店要請を重ねた。国道沿いの村有地の安価での提供が、決め手の一つとなったという。
もう一つ、大きな決め手は「物流ルート」だった。セイコーマートの店舗は、初山別村からさらに北の遠別町、天塩町、幌延町への配送ルート途上にあったことだ。
また出店の準備にあたって、パート従業員を募集しても、当初はなかなか集まらなかったという。村は全戸に配る広報誌に募集チラシを挟みこんでくれ、ようやく人手を確保することができた。
出店当時に比べて、村の人口はさらに減少しているようだが、最近の初山別店の経営状況はどうだろう?「個店の経営状況については、申し訳ありませんがお答えできません」と、セコマ広報担当者は答えてくれた。
小型商圏の場合、コンビニもミニスーパー化の傾向にあるそうだが、客単価の変化はあったのだろうか?
「個店の客単価等の営業状況は、基本的にはお答えできないのですが、一般的な傾向として地方でスーパーのようにご利用いただいている店舗では、購入される商品カテゴリーの幅が広く、かつ購入頻度も高くなるので、客単価が高くなる傾向があります」
電気、ガス、水道、電話に並んで、 コンビニはインフラの一つとして捉えられているようだ。地域社会でのセイコーマートの存在意義はどうだろう?
「店舗が長く存続していくことで、地域の方にとってのインフラとしてお役に立てるのではないかと考えております。人口の少ない地域であっても、営業時間を地域の実状に合わせて決定したり、地域との関係性を深めることで営業を継続している過疎地の店舗もあります」
初山別店の営業時間は、6時から24時まで。いま何かと問題となっている24時間営業ではなく、地域の実状に合わせて決められたようだ。また従業員に関しては、村役場の協力があり確保できているとのこと。地域社会との関係性がとりわけ重視されている。
たしかに人口も減少しているようだが、商品カテゴリーの幅が広く、かつ購入頻度も高いので、客単価は高くなる傾向にある。また経営状況は明らかにされていないが、人口約1000人という小さな商圏の中で、貴重なミニスーパーのような利用法がされているようだ。
昨年の震災の影響で、停電したところが多かったと聞くが、「初山別店」の影響はどうだったのだろう?
「北海道胆振東部地震では、ブラックアウトが起きましたので初山別店も停電致しました。緊急時でしたので、個店別にお客様の反応をお伝えすることは難しいのですが、他多くの店舗と同様に初山別店も非常用電源を使用して車のバッテリーから電気をレジに供給し店舗を可能な限り営業しました。夜は、電気がつかない中ではお客様が逆に危険なため、また商品量もなくなり早い時間に閉店しました」
昨年の地震と停電の際、セイコーマートの店舗が営業を続け、ツイッターで大きな話題になったことは記憶に新しい。初山別店でも、非常用電源を使用して車のバッテリーから電気をレジに供給し、可能な限り営業したようだ。
北海道のセイコーマートは、インフラどころかライフラインの役割も果たしているようだ。