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駅の「ご当地メロディー」、乱発しすぎでは? 「定番曲」の使用減に悩むマニアの本音

大宮 高史

大宮 高史

2019.03.27 20:00
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首都圏で1989年に新宿駅と渋谷駅で本格導入されてから、今年で30年となる発車メロディー(駅メロ)。

この節目にあわせて、Jタウンネットが駅メロに関する思い出やご意見を募集したところ、読者の皆様から様々な投稿が寄せられた。

特に熱い意見が届いたのは、「ご当地メロディー」について。その土地ゆかりの曲とそれまで駅で定着してきたオリジナルの楽曲、どちらも支持されていて悩ましいところである。

恵比寿駅といえば、ビールCMでお馴染みのあの曲(LERKさん撮影、Wikimedia Commonsより)
恵比寿駅といえば、ビールCMでお馴染みのあの曲(LERKさん撮影、Wikimedia Commonsより)

ご当地メロディー、乱発しすぎ?

まずは静岡県在住の20代女性からの投稿だ。

「駅ごとに異なる駅メロを聞き比べるのは出張の時の私のささやかな楽しみとなっています。特に恵比寿駅で流れる映画第三の男のハリーライムのテーマの発車メロディーが大好きです。
恵比寿の洗練された都会的な雰囲気にぴったりでこれを聞くと東京に来たんだなぁと思います。1番線~4番線で少しずつ違うのも聞いていて楽しいです」

静岡では発車メロディーがほとんど普及していないため、東京の駅で流れる楽曲は確かに東京らしさを感じさせてくれるものだろう。

かつて恵比寿駅近傍に工場があったエビスビールにちなんでの導入だが、さらに元をたどれば投稿の通り、映画「第三の男」の主題歌だった古典的名曲だ。投稿の通り、恵比寿駅1番線から4番線まで原曲を重ならないようにアレンジしているので、ビールのCMで採用されていないパートまで聴くことができる。

恵比寿駅のものはご当地メロディーといえるもので、地域のカルチャーに親しんでもらおうと各地で採用されている。

しかし、このご当地メロディーについて、別の視点からの悩ましい投稿も来ていた。これは10代の鉄道ファンの意見だ。

「私の好きな発車メロディーは、東武鉄道に限っていえば(東武が好きなので)東武宇都宮で使われているpassengerや、東武日光で使われているcrystal clear river(夜のストレンジャーとも)、かつて池袋で使われていたmemoria(cityとも)や、例のpassengerのエンドレスver.などです。
ただ、使用開始から30年近く経っていることもあり、放送装置の更新に伴う曲目の変更や、ご当地メロディー化が進んでいて、私の好きな曲の使用駅は減りつつあります」

こちらは東武鉄道についてのもの。東武では90年代末期より、池袋・浅草・東武日光・東武宇都宮・柏などのターミナル駅で独自作曲のメロディーを採用してきた。

投稿の通りそれぞれに曲名がついており、始発駅で流れる曲なので1曲あたりの時間が長く旅情をそそるものが多かった。しかし投稿にある通り、徐々に置き換えられて減少傾向にある。

例えば東武池袋駅では2015年6月に駅オリジナルのメロディーに切り替わった。新メロディーは東京芸術劇場などを擁する芸術の街・池袋にちなんでクラシックの楽曲をアレンジしたもの。ご当地メロディーというわけだが、池袋駅から東武らしさが失われてしまったと惜しむ声も未だにある。

東武池袋駅で長らく親しまれたメロディーも切り替わった(? DAJFさん撮影、Wikimedia Commonsより)
東武池袋駅で長らく親しまれたメロディーも切り替わった(? DAJFさん撮影、Wikimedia Commonsより)

またJR東日本についても、同じ楽曲でも採用駅やスピーカーのメーカーによって微妙に音色が違う。そういう違いもマニアの間ではツボになっていたが、楽曲の差し替えは楽しみが減ってしまう面も。引き続き、先ほどの10代男性の投稿を見てみると

「JRについても同じで、私は中央線や、高崎線、総武緩行線など多数の線区で使用されているJR-shシリーズや、東洋メディアリンクス、永楽電気、ユニペックス製(の楽曲)が好きなのですが、ご当地化の波に押され、使用駅が減りつつあります」

1989年の発車メロディー導入から十数年間はまだJR東日本以外では発車メロディーという習慣は珍しかった。

駅にちなんだご当地メロディーは蒲田駅の「蒲田行進曲」くらいだったが、世間に定着した2000年代からご当地曲がどんどん増えていった。東京都内のJR駅だけでも蒲田駅・恵比寿駅の他に、以下これだけの駅で採用例がある。

赤羽「俺たちの明日(エレファントカシマシ)」(5番線)
「今宵の月のように(エレファントカシマシ)」(6番線)
高田馬場「鉄腕アトム」
駒込「さくらさくら」
水道橋「闘魂こめて」
高円寺「阿波踊り」(各駅停車ホーム)
阿佐ヶ谷「たなばたさま」
三鷹「めだかの学校」
武蔵小金井「さくらさくら」
国分寺「電車ごっこ」
西国分寺「一番星見つけた」(中央線ホーム)
「国分寺市の歌」(武蔵野線ホーム)
豊田「たき火」
八王子「夕焼け小焼け」
青梅「ひみつのアッコちゃん」
西立川「雨のステイション(荒井由実)」
品川「鉄道唱歌」(東海道線ホーム)

作曲家の出身地や居住地だったり(八王子・国分寺・三鷹)、地元球団にちなんだ応援歌(水道橋)だったりするが、これだけご当地メロディーが普及すると、既存のメロディーのファンは食傷気味ではないだろうか。

最初は期間限定として導入しても、やはり名のある曲の方が印象がよいのか、そのまま定着した例も少なくない。

水道橋駅の「闘魂こめて」は最寄りの東京ドームにちなんで読売ジャイアンツの球団歌を採用(J-phophoさん撮影、Wikimedia Commonsより)
水道橋駅の「闘魂こめて」は最寄りの東京ドームにちなんで読売ジャイアンツの球団歌を採用(J-phophoさん撮影、Wikimedia Commonsより)

「また、ある会社はご当地ではないのですが、曲を量産し、(それはいいのですが)駅メロとしてどうなの?というような、駅メロに向かないキラキラしたような、軽すぎるような、そんな曲を作っています。
私が言いたいことは一つ、従来のメロディーを置き換えるなら、前のものを大きく超える、駅メロに向いた、誰が聞いても感動するような名曲を使用して欲しい、ということです。 ご当地化の進む時代になっても、質の良い、名曲が沢山生まれて、好きな曲がもっと増えることを期待しています」

元々マニアや地元ユーザーの間でひそかに愛着をもって親しまれてきた駅のメロディー。安易に何駅も何駅も流行歌などに置き換えられても......というのが率直な感情かもしれない。

引き続き、JR東日本や関東に限らず、「駅メロ」に関する体験談や感想をお寄せいただきたい。

好きな駅メロ、ありますか?

Jタウンネットでは、あなたの「駅メロ」に関する思い出、ご意見などの投稿を募集しています。地域・路線は何でもOKです。こちらのメール(toko@j-town.net)に、具体的なエピソード、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。

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