映画「シティーハンター」は絶対に新宿で見るべき! 鑑賞後、徒歩0分で「聖地巡礼」
激変した西口・南口も舞台に
原作・アニメがヒットしていたのは1980年代後半~90年代初頭。そこから新宿は様変わりした。現在YouTubeで一部配信中のアニメ版と比較すると、描画の進歩を差し置いても80年代末期の西口には思った以上に超高層ビルは少ない。目立つのは裾が広がったような損保ジャパン本社ビルくらいである。
1991年に東京都庁が完成し、それ以後も00年にNTTドコモビル、06年にモード学園コクーンタワーが完成するなど個性的な超高層ビルが増えていった。それらの建物群も劇中でしっかりと描かれ、獠たちの新宿への思い入れを代弁しているかのよう。
新宿駅の南口には原作当時影も形もなかったバスタ新宿やサザンテラスが整備されている。我々には当たり前の光景だがどちらも劇中でばっちりと登場。バスタ新宿に至っては終盤でゴジラに破壊されるがごとき災難に遭うが、これも実在のターミナルを知っていると何倍も面白く観ることができる。
また新宿の平和を賭けた最終決戦の舞台は新宿御苑がモデルだ。大都会新宿にこんな戦争でもできそうな広大な場所が......とびっくりする上に、新宿でのもう一つの上映館・新宿バルト9の目と鼻の先なので、すぐに聖地巡礼できてしまう仕掛けが心にくい。
とにかく、せっかく新宿で観たのならそのまま帰るのは勿体ないくらい忠実に再現された現代の新宿で、シティーハンターらしいエッセンスが随所にちりばめられた小粋な作品だった。新宿の街中に身を置くだけで余韻に浸っていられる。
それでいて音楽面ではエンディングに流れる「Get Wild」を筆頭に、シティポップ感満載の「City Hunter~愛よ消えないで~」(小比類巻かほる)や若干ファンクさも漂うロック曲「ゴーゴーヘブン」(大沢誉志幸)など、アニメのOP曲や挿入歌がふんだんに使われているので、80年代と現代を行き来するかのような錯覚にも陥ったし、原作のややバブリーでイケイケな時代感覚が蘇る。
劇場を後にする観客は若い人も多く、ルミネやバスタ新宿のような馴染みの場所が映画の舞台になっていたのを楽しんでいる会話もちらほら聞こえてきた。3月1日から4D版の上映開始も決定していて、さらに臨場感あふれる映画を楽しめる。
ちょうど昭和と平成の変わり目の新宿を舞台にしたシティーハンター・冴羽獠が、平成最後の年の新宿でいきいきと活躍している。確かに新宿で観て獠たちの息吹と街の進化を体感することの意義は大きく、エモい体験だった。