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衝撃のおいしさ「手づくり最中」 皮は超パリパリ、あんこの量も自由自在

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.12.21 11:00
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耳も美味しさ味わえる

菊屋は大阪メトロ北浜駅から出てすぐ。歴史ある高麗橋エリアの老舗だ。奈良・大和郡山市の「本家菊屋」にルーツを持ち、昭和になって独立別家という形で伝統を受け継いでいる。

今回編集部が食べたのは「菊あわせ」という品。これは高麗橋菊屋が発祥のお菓子で、昭和天皇と高松宮宣仁親王から御嘉納の「菊紋」を下賜された皇室御用達の品だという。

あまりに重厚なエピソードがあるため、「Jタウンネットで取り上げて大丈夫なの?」と筆者が心配してしまった。

開封後の「菊あわせ」
開封後の「菊あわせ」

プラスチック製の箱に入れられた皮は綺麗な菊の紋を付けており、食べる前に目で楽しませてくれる。

皮とあん
皮とあん

あんは一見すると水ようかんに似た光沢を帯びており、弾力もあんとは思えないほどある。皮に上下はないため、どこからとっても大丈夫だ。

添付の冊子に合わせて作っていく。あんは器の端から掬い取る。

盛り付け中の菊あわせ
盛り付け中の菊あわせ

皮に詰める際は前に押し込むようにするのがポイントのようだ。中心を盛り上げるように盛り上げていくが、あんの量は「好きなだけ」とのこと。オリジナルの最中が出来上がるのだ。

盛り付け終わった姿
盛り付け終わった姿

筆者は性格がひん曲がっているせいか、下側を平らに盛って、上側の皮にもほんの少しあんをつけて重量級の最中を完成させた。

完成した菊あわせ
完成した菊あわせ

上下を重ねるときには出っ張りの部分を合わせるのがポイント。少しあんが飛び出したが、キレイな形がキープできている。高倉健さんも驚くほどの不器用さを持つ私ですらこんなに美しくできるのだ。

自分で詰めた最中をいただけるなんて幸せだ。一口目を口に入れると、

「パリッ」

あまりに大きな音を皮が立てる。思わず周囲を見渡すほどだ。しかし、貰い物で上等な最中を食べたことがあるが、未だかつて聞いたことのない音量。何より耳が癒されるような心地よいサウンド―― 音のソノリティなのか。

音に酔っている場合ではなかった。滑らかでおしとやかなあんの優しい甘美。咀嚼を重ねるほど香りを増す皮の芳醇な風味。この2つを同時に感じられる。

都会の喧騒の中に訪れた癒しだ。黒革のフルフラットチェアに座って眠るような格別な癒しをお菓子で手に入れた。みるみるうちに力が抜け、今日はもう帰っていいんじゃないかと甘えたい。

自分でひと手間を加えるお菓子は作っているときの楽しさがメインだが、この最中は圧倒的に美味しさが上回る。正直なところ自分であんをつめると聞いたとき、変わり種と思ってしまったが。味で勝負の伝統的なスタイルだった。

我らがS編集長にも食べていただいたところ、

「おいしい。帰省するから実家に持って帰りたい」

流石は相模湾よりも心が広い編集長。あまりの美味しさに小田原に暮らす両親に思いを馳せたようだ。

ここにきて筆者にある考えが浮かんだ。職人さんには申し訳ないと思いつつ、躊躇いをかき消して悪事に手を染めた。それも落ち着いた大人の女性の和服をはだけさせるような重罪だ。

菊あわせにアイス
菊あわせにアイス

バニラアイスを乗せてみた。おとなしい甘さに不満があったわけではない。不健全ながらここアイスが乗っていたら、絶対に美味しい。

そして間違いはなかった。上品な甘美と風味に入り込む濃厚でねっとした妖しい甘み。多面性のある妖艶な魅力を持つアレンジが完成した。

これには編集長も「うまい」と唸っていた。アイスが溶けるスピードが早すぎるので、あんはかなり冷やした状態からやるのがおすすめだ。

終盤に少し道を踏み外したが、最高の状態で食べる最中。それは自分の手で作りあげるものだ。大阪が生んだ奇跡の一品で癒される。大阪を訪れた際はぜひ購入したい。8個(16枚)入りで、値段は1620円(税込)。

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