さらば「国鉄広島」、平成の終わりと共に あと3か月...黄色の電車が街から消える
民営化から28年間、新形式の導入なし
1987年に国鉄が民営化されてJR西日本が発足したが、同社の広島支社管内では気動車の一部を除いて国鉄時代に製造された車両ばかりで、山陽線などでは21世紀になっても「115系」「103系」といった車両が主力で活躍していた。他の地域ではどんどん引退していくこれらの国鉄型車両が広島ではずっと健在だったことから、かえって国鉄型を懐かしむファンの注目を集めるようになり、広島だけ国鉄が続いているかのよう、ということで「国鉄広島」というネットスラングが生まれた。
とはいえ、民営化から20年が経っても新型式の電車が導入されず老朽化だけが進む有様から、さすがに「懐かしい」だけで済む話ではなくなりつつあった。また2009年頃から車体の黄色一色への塗り替えが始まったが、これが黄色をもじって「末期色(まっきいろ)」とも揶揄されるようになり、より自虐的なニュアンスが込められるようになった。
そんな広島エリアだったが15年にようやく新型車両「227系」の導入が始まる。実に国鉄時代から32年ぶりの新型電車導入だった。そして来る19年3月の改正で山陽線・呉線・可部線のすべての電車が227系に統一され、民営化から32年、平成最後の年にようやく「国鉄広島」が終焉に近づいている。
227系導入時点で完全置き換えの目途は立っていたが、正式にすべての電車の置き換え時期が定まったことで、かつての国鉄型ばかりの時代を知る人達が感慨深げの様子だ。
また長らく低迷していた広島東洋カープも13年に初のCS進出を決めると、16年からこの18年までセ・リーグ3連覇を達成し黄金時代を築き上げるなど、広島の街は盛り上がりを見せている。停滞の時代から躍進に移るのと軌を一にするかのように、国鉄生まれの電車は記憶の中に消えていく。