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さらば「国鉄広島」、平成の終わりと共に あと3か月...黄色の電車が街から消える

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.12.18 17:00
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2018年12月14日、JR各社が翌19年3月16日に実施するダイヤ改正の概要が発表された。その中で、JR西日本の広島・山口エリアの改正内容が、鉄道ファンの間でちょっとした話題を呼んだ。

彼らの言う「国鉄広島(廣島)」とは、JR西日本広島エリアが数年前まで国鉄時代の車両ばかりで占められていたことをネタにした、自虐や悲哀が入り混じったワードだ。国鉄分割民営化から来年で32年、ようやくこの言葉も思い出になろうとしている。

国鉄世代の電車が完全引退(TRJNさん撮影、Wikimedia Commonsより)
国鉄世代の電車が完全引退(TRJNさん撮影、Wikimedia Commonsより)

民営化から28年間、新形式の導入なし

1987年に国鉄が民営化されてJR西日本が発足したが、同社の広島支社管内では気動車の一部を除いて国鉄時代に製造された車両ばかりで、山陽線などでは21世紀になっても「115系」「103系」といった車両が主力で活躍していた。他の地域ではどんどん引退していくこれらの国鉄型車両が広島ではずっと健在だったことから、かえって国鉄型を懐かしむファンの注目を集めるようになり、広島だけ国鉄が続いているかのよう、ということで「国鉄広島」というネットスラングが生まれた。

広島では2010年を過ぎてもすべての電車が国鉄時代の車両だった(ぺ有家音さん撮影、Wikimedia Commonsより) 
広島では2010年を過ぎてもすべての電車が国鉄時代の車両だった(ぺ有家音さん撮影、Wikimedia Commonsより) 

とはいえ、民営化から20年が経っても新型式の電車が導入されず老朽化だけが進む有様から、さすがに「懐かしい」だけで済む話ではなくなりつつあった。また2009年頃から車体の黄色一色への塗り替えが始まったが、これが黄色をもじって「末期色(まっきいろ)」とも揶揄されるようになり、より自虐的なニュアンスが込められるようになった。

「瀬戸内の陽光」をイメージしたという黄色だが、東京の総武線などを連想させる色合い
「瀬戸内の陽光」をイメージしたという黄色だが、東京の総武線などを連想させる色合い

そんな広島エリアだったが15年にようやく新型車両「227系」の導入が始まる。実に国鉄時代から32年ぶりの新型電車導入だった。そして来る19年3月の改正で山陽線・呉線・可部線のすべての電車が227系に統一され、民営化から32年、平成最後の年にようやく「国鉄広島」が終焉に近づいている。

227系導入時点で完全置き換えの目途は立っていたが、正式にすべての電車の置き換え時期が定まったことで、かつての国鉄型ばかりの時代を知る人達が感慨深げの様子だ。

227系
227系

リニューアルで生まれ変わったホーム(Inaji pcさん撮影、 Wikimedia Commonsより)
リニューアルで生まれ変わったホーム(Inaji pcさん撮影、 Wikimedia Commonsより)

また長らく低迷していた広島東洋カープも13年に初のCS進出を決めると、16年からこの18年までセ・リーグ3連覇を達成し黄金時代を築き上げるなど、広島の街は盛り上がりを見せている。停滞の時代から躍進に移るのと軌を一にするかのように、国鉄生まれの電車は記憶の中に消えていく。

どうなる「カープ電車」

もっとも消えていく国鉄型車両の中には、車体にカープのラッピングを施して真っ赤になった、人気の高い「カープラッピングトレイン」や、同じくサンフレッチェ広島仕様「サンフレッチェ応援ラッピングトレイン」もある。

写真は2017年シーズンのもの(khws4v1さん撮影、Wikimedia Commonsより)
写真は2017年シーズンのもの(khws4v1さん撮影、Wikimedia Commonsより)

これまでは115系で運転されていたが、来春115系は広島から全面撤退。今後の運転計画についてJR西日本広島支社に聞いてみると、

「来年も運行する方針ですが、どのような運転形態になるかは未定です」

とのことだった。227系はステンレス車体で、これまでの115系のように全面塗装するとなると手間がかかるが、これらの電車だけ115系になるか、227系を起用するかも全く未定だそうだ。

また同じ広島支社管内でも下関などの山口県内エリアや、東隣の岡山支社エリアでは国鉄型車両の全面的置き換えはアナウンスされていない。このために下関や岡山が逆に「国鉄下関」「国鉄岡山」などとネタにされたりもしているが、こちらもいつ置き換えが始まってもおかしくない状況である。

着実に新しい時代に入っている山陽の鉄道。「国鉄広島」の悲哀がまじった記憶も、笑って思い出せる時代に来ているようだ。

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