日本から「サンクス」が消えた 記者が見届けた「最後の瞬間」
2018年11月30日。ファミリーマート(東京都豊島区)が16年9月から行ってきた「サークルK」と「サンクス」の「ファミリーマート」へのブランド転換が完了する日だ。言い換えれば、サークルKサンクス最後の一日である。
29日にファミマ公式サイトで発表された情報によると、足掛け2年3か月にわたるブランド転換で約5000店舗がファミマに変わった。そこでJタウンネット編集部は、この日で営業を終える最後の店舗の1つ、埼玉県朝霞市の「サンクス和光北インター店」に行き、最後の瞬間を見届けた。
最後の瞬間は...
11月30日をもって閉店するのは編集部が調べた限りで3か所あり、サンクスは和光北インター店のほかに埼玉県新座市の「新座駅南店」、そして愛知県豊山町のサークルKミニ名古屋空港店だ。
今回、記者は埼玉県の和光北インター店へと出向き、全国で最後の「サンクス」が閉店するその瞬間に立ち会うことにした。
和光北インター店があるのは東京外環自動車道の和光北インターチェンジから近い場所。近くには日本郵便の物流局である東京北部郵便局がある。筆者は「最後の日」の13時ごろ現地に到着した。
閑静な住宅街にある店舗で、駐車場12台ほどのスペースで広いわけではない。
店内に入るとおよそコンビニとは思えないほど品が減っており、かつて使われていたソフトクリーム用のマシンも置かれていた。
品物はそれぞれ半額や3割引となっていて、在庫一掃セールのようだ。お客さんもある程度いたが、お弁当類がほとんどなかったため、近くの牛丼屋に行くしかないという人もいた。閉店は15時を予定しているという。
常連さんと思わしき人も多く訪れ、サンクス最後の日を店員さんと惜しみ、店を出る際は外まで店員さんが追いかけて見送った。なかには事前に何時に行くか宣言をしている人もいたようで、その人の来店を心待ちにしている場面もあった。住宅街の店舗とあって、地域の人々から愛されていたのだろう。
ここは12月11日にファミリーマート和光北インター店として再出発するが、長年親しんだサンクスの形態の最後の日。感慨深いものがある。
筆者も最後に残っている弁当類からドリアと毎朝使う整髪料、それとタバコを1箱購入した。
次々と訪れる常連さんと思わしき人々。「今までお疲れ様」と労いの言葉をかける人も多い。
品物を買わずレシートだけを持っていく人もいて、店員さんも「どうぞ」と笑顔で渡していた。外観の写真撮影をする人も現れ、最後のサンクスを記録にしようと真剣な眼差しだ。
社員と思われるスーツ姿の男性も店内に入り、店員と何か話している。14時台に入ると店員さんは通常の業務に加えて店内の装飾やポップを剥がし始めた。
閉店15分前には筆者と同じく閉店の瞬間を見届けるために待機する人も現れ、その時を待った。その間も次々と業者が入りコーヒーマシンなどを撤去。サンクスのロゴが入ったステッカーも剥がされていく。
今日シフトに入っていない店員なのか、私服姿で作業を手伝う若者も入ってきた。
そして迎えた15時。挨拶などはなく、店員さんは黙々と作業に励む中、スーツ姿の男性が外に設置されているごみ箱を店の入り口を塞ぐように置き、これで閉店となった。
後に確認したところ、同じくこの日まで営業していたサンクス新座駅南店も、同時刻に営業を終了。つまりこの瞬間、1980年から38年続いたコンビニブランド「サンクス」が終焉を迎えたのだ。
12月11日からはファミリーマートとして再出発する店舗の最後は、どこかひっそりとしたものであった。