宝塚歌劇の聖地「Pasta」、ファンと歩んだ35年 歴代ジェンヌが愛した名店の歴史
震災を乗り越えて
一見すると順風満帆に思えるPastaの歩みだが、営業継続が危ぶまれたこともあった。それは1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災だ。
宝塚市の公式サイトによると死者118人、負傷者2201人。建物も全壊が3559棟に及び被害は甚大であった。Pastaも例外ではなく建物が全壊する大きな被害を受けた。
営業する場所がない――。そんな中、Pastaは仮設店舗での営業を決意した。現在使われている花のみちセルカは2000年9月から運用開始。仮設での営業は5年もの長きにわたり、中川さんはこの間を「ブランク」と表現した。
実は旧店舗と仮設、そして現在の新店舗の3つをよく知るお笑い芸人がいる。それがアジアンの隅田美保さん。彼女は約7年間、Pastaで店員として働き、震災から仮設店舗への移行の際もついてきたことからお店の歴史には欠かせない正に伝説のアルバイトなのだ。
宝塚の名店として名高いPasta。しかし、中川さんはインタビュー中、
「個人経営の店で、本当に色んな人に支えられて続けました」
と様々な人からの「支え」を繰り返し強調した。また、その支えへの感謝も筆者である私に何度も口にしていた。
きっと中川さんのご主人もアルバイトの方も全員が同じ「愛」をもって訪れる人に接しているに違いない。
どれだけお客さんが増えても、そこにPastaがある限り、熱いハートがそこにあるはずだ。
(Jタウンネット編集部 大山雄也)