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きゅうりに乗ってやってきて、ナスに乗って帰ります お盆に飾る「精霊馬」はどこまで一般的なのか

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.08.14 06:00
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すっかり一大帰省イベントになっている印象もある「お盆」だが、本来は先祖供養の行事を行う期間だ。この認識は一般常識のようなもので、地域によって極端な違いはないと思われるが、細部ではかなりの地域差がある。

日付ひとつをとっても、新暦の8月15日前後が多いと思われるが、旧暦の7月15日パターン、新暦の7月15日パターン、さらにこれらとはまったく異なる日の場合もあり、なかなかバリエーション豊かだ。

そんな中でも記者が気になるのは「精霊馬(しょうりょううま)」だ。きゅうりやナスに楊枝や割り箸で足をつけ、牛や馬に見立てる飾りで、ネット上ではバイクや車などを作っている画像などが見られることも。存在自体が広く知られているようなのだが、実際にお盆の習慣としてはどのくらい一般的なのだろうか。

実際のところ、馬や牛に見えるかというと微妙なライン(katorisiさん撮影, Wikipediaより)
実際のところ、馬や牛に見えるかというと微妙なライン(katorisiさん撮影, Wikipediaより)

全国的なようで全国的ではない?

この精霊馬、きゅうりは馬でナスは牛とされ、先祖の霊が馬に乗って早く家に戻り、あの世に帰るときは足の遅い牛に乗ってゆっくりと、という意味が込められているとか。

しかし、現代のスピード感で考えれば、どちらも相応に時間がかかりそうな気もする。車やバイク型の精霊馬(もはや生物をかたどってすらいないが)が散見されるようになったのは、単に面白ネタというだけではなく、速さを追求する時代性の表れなのか――。多分、単に面白さの追求だと思われる。

さらには、この時期にツイッターやネット上で「精霊馬」というキーワードで画像検索をすると、シンプルに足が生えただけのものから、制作者のセンスや高度なテクニックが光る、一種の「アート」にすら昇華されたものまで、さまざまな精霊馬が確認できる。

ネットではよく見かけるがゆえに全国共通の風物詩感がある精霊馬だが、実際には地域性のある習慣であるとする指摘が少なくない。具体的に東西で違いがあるとする意見もあるのだが、果たしてそこまで明確に分かれているものなのだろうか。

試しにJタウンネット編集部の記者たちや、周囲の同僚にも確認してみたが、特に東西関係なく「飾っていなかった」という返答が多い。少なくとも身近なところではレアな習慣のようだ。

地域性というと、例えば記者の地元広島ではお盆になると、いわゆる「安芸門徒」を中心に、竹と和紙でできた鮮やかな盆燈籠(ぼんどうろう)を墓に供える習慣がある。

この時期広島は墓地が華やかになります(Lemon-sさん撮影, Wikimedia Commonsより)
この時期広島は墓地が華やかになります(Lemon-sさん撮影, Wikimedia Commonsより)

他地域ではほとんど見られない習慣だが、記者の実家は宗派が異なるからという理由で供えていなかった。ちなみに記者実家では、精霊馬も飾っていない。お盆の特別な飾りといえば、盆提灯くらいだった。

お盆の各種行事はある種の地域性はあるが、やはり宗教的な行事でもあるので、その地域内でも細かな差異が出てくるだろう。とすると、精霊馬にしても地域性というよりは、宗派や個々の家庭の事情によるような気もしてくる。

せっかくのお盆シーズン、精霊馬事情を探ってみたい。普段は東京にいる読者の方々も、この時期ばかりは地元にいるのではないだろうか。

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