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<東京暮らし(2)>「モネ それからの100年」展

中島 早苗

中島 早苗

2018.07.31 17:00
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平日午後でも盛況

   行ったのは平日の午後だったが、その盛況ぶりに驚く。やっぱり日本人はモネが好きなんだと再認識すると共に、もう一つの理由に気づいた。モネ以外の作家作品も想像以上に充実していて、現代美術展としても十分見ごたえのある内容になっているのだ。

   会場で見た中で私が好ましく思い、印象に残った作品をあげてみたい。モネの作品では、「ヴァランジュヴィルの風景」。木の間越しの構図は、モネが葛飾北斎などの浮世絵から学んだものだという。フランス、ジヴェルニーにあるモネの自宅の食堂には、モネが集めた数々の浮世絵が今も飾られているそうだ。

   ロンドンの定宿、サヴォイ・ホテルの部屋から眺めた、霧に煙るテムズ河の光景を描いた「チャリング・クロス橋」「テムズ河のチャリング・クロス橋」もいい。

   モネ以外の作家作品もよかった。たとえばウィレム・デ・クーニング、中西夏之、湯浅克俊など。ほかにもマーク・ロスコ、モーリス・ルイス、サム・フランシス、ロイ・リキテンスタイン、アンディ・ウォーホルなど、錚々たる作家の作品が並んでいるので、じっくり見ていたらあっという間に1時間半ほど経ってしまった。モネや印象派ファンだけでなく、現代アートファンも満足する展覧会になっている。

   最後の空間に掛けられている「睡蓮」の連作を見ていたら、ジヴェルニーのモネの自宅を訪れ、かの庭を見てみたくなった。それぞれのアーティストが作品に込めた命を感じる展覧会である。

   東京暮らしの魅力の一つは、都内各所のみならず、今回の横浜みなとみらい地区など、隣県のカルチャーの拠点にアクセスしやすい点である。モネ展のようなクオリティの高い展覧会や、歌舞伎などの舞台、ライブコンサートなど、毎月、毎週バラエティに富んだイベントの選択肢がある。本物のカルチャーに触れられるチャンスの多さが、東京暮らしの大きなメリットなのだ。

横浜美術館にほど近い、みなとみらいの夜景(筆者撮影)
横浜美術館にほど近い、みなとみらいの夜景(筆者撮影)

中島早苗

今回の筆者:中島早苗(なかじま・さなえ)

1963年東京墨田区生まれ。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)「モダンリビング」副編集長等を経て、現在、東京新聞情報紙「暮らすめいと」編集長。暮らしやインテリアなどをテーマに著述活動も行う。著書に『北欧流 愉しい倹約生活』(PHP研究所)、『建築家と造る 家族がもっと元気になれる家』(講談社+α新書)、『ひとりを楽しむ いい部屋づくりのヒント』(中経の文庫)ほか。
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